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相続登記の費用はいくら? 実費の内訳と報酬相場

「相続登記の費用は高い? そうでもない?」。
相続不動産の名義変更にはどれくらい費用がかかるのか、いまひとつピンとこない方は多いかもしれません。
相続登記の費用は、手続きするための実費と、司法書士に代理した場合支払う報酬に分けられます。
総額でどれくらいかかるかは、不動産の価額や、必要となる書類の枚数、どこまで司法書士に任せるかで異なります。
また、料金体系は司法書士事務所ごとにバラバラで、料金表示が分かりにくいところや相場より高く設定している事務所に頼むと損をするかもしれません。
相続登記で余計なコストを負わないためにも、費用にまつわる情報を整理しておきましょう。
こちらでは、相続登記の費用の内訳、事務所の選び方、安く抑える方法をご紹介します。


相続登記で必要な費用は?

相続登記では多くの公的書類を集める必要があるため、役所への手数料がかかります。
また、司法書士に登記代理を頼む場合は、報酬も支払わなければなりません。

実費と報酬

実費

自分で登記をしようと思っても、必ずかかるのが実費です。
被相続人の出生までさかのぼった戸籍謄本、登記事項証明書、固定資産税評価書の取り出しには手数料がかかります。
また相続登記には税金もかかり、不動産評価額に応じた額を不動産登録免許税として支払います。

報酬

相続登記を司法書士に頼むと報酬が発生します。
報酬に関するガイドラインはなく、事務所が任意に料金額を設定しています。
頼んだ事務所次第で、費用が大幅にかさむ可能性もあるため、よく検討して依頼先を選びましょう。

相続登記で必ずかかる! 「実費」

相続登記において、実費の負担は避けられません。

相続登記には税金がかかる=登録免許税

不動産の所有者名義の変更にともない、必ず発生するのが登録免許税です。
相続登記の場合は、不動産の評価額の0.4%が課税されます。
算出方法は、まず不動産所在地の市区町村もしくは都税事務所で固定資産税評価書を取得。
そこに記載された評価額をもとに算出します。

● 1000万円の土地:1000万円×0.4%=40,000円
● 2000万円の土地:2000万円×0.4%=80,000円
● 3000万円の土地:3000万円×0.4%=120,000円
● 4000万円の土地:4000万円×0.4%=160,000円
● 50000万円の土地:5000万円×0.4%=200,000円

国税ですので、課税額は依頼先の事務所で変わることはありません。
登録免許税は印紙を購入し、申請書に貼って法務局に納めます。
司法書士事務所に依頼する場合は、課税額分を前もって現金で支払うことになるでしょう。

相続登記に必要な書類の実費はいくら?

相続登記手続きでは、多くの書類を集める必要があり、一枚一枚に手数料が発生します。
以下、必要書類と手数料金額を記します。

● 戸籍謄本:450円
● 除籍謄本・改製原戸籍:750円
● 住民票・住民票附票:300円
● 印鑑証明書(遺産分割協議作成の場合):300円
● 固定資産税評価書:400円
● 登記事項証明書(直接請求):640円
● 登記事項証明書(オンライン請求):480円
● 検認代(遺言がある場合):1,500円

戸籍謄本や改製原戸籍は、被相続人の転籍回数が多いほど増え、費用もかさみます。
また、本籍地の役所まで出向けない場合は郵送してもらうことになりますが、その際は切手代が発生します。
トータルで数千円~1万円程度とみてよいでしょう。
書類の発行手数料も、税金と同様節約などはできません。
少しでも軽減を望むなら、オンライン申請などを積極的に活用してください。

司法書士への報酬はいくらになる?

戸籍集めから登記の申請まですべてひとりで行うなら、費用の負担は実費のみで済みます。
司法書士事務所の力を借りて登記をすれば、労力は減りますがその分費用がかさみます。

費用の相場は?

司法書士に相続登記を頼むと、最低でも6万円程度の費用がかかるでしょう。
相続登記代理の報酬に上限はなく、各事務所自由に設定してよいことになっています。
とはいえ、どんなに高くても10万円程度で収まるようです。
なお、司法書士に支払う報酬は、不動産評価額の高低で決まります。
評価額が高いほど報酬も高く、反対に低ければそれに応じて費用も安くなるのが一般的です。

注意! 料金体系の違い

相続登記では、事務所ごとに料金体系が異なる点も注意する必要があります。
事務所が設定する料金体系は、主に以下のふたつに分かれます。

● 一括して支払うパック料金
● 項目ごとに金額を設定する各種料金

分かりやすいのはパック料金です。
「4万9800円」などと明確に表記されているため、どれくらい費用がかかるか一目瞭然です。
対して各種料金タイプは、一枚の書類ごとに細かく金額が設定されています。
「登記事項証明書:1,000円」「改製原戸籍:800円」というふうに、個別にチェックしなければなりません。
一例を挙げるとすれば次のような具合です。

● 登記申請代理(基本報酬):50,000円
● 遺産分割協議書:15,000円
● 相続関係説明図:15,000円
● 戸籍収集:一枚につき1,000円
● 登記事項証明書:1,000円

これらの手数料に実費は含まれません
各種設定方式のほうが絶対に高いとまではいえませんが、変動が大きく、最初に想定した金額を上回る可能性もあります。
総額が分かりにくく、読みにくいのが各種設定方式のデメリットです。

司法書士の費用は比較すべし!

司法書士費用を少しでも抑えるためにも、事務所料金は個別に比較してください。
まず相場は6~10万円程度ですので、10万円以上かかるところは選択肢から外してよいでしょう。
また、たとえ相場内に収まる場合でも、その料金が妥当かどうかは相対的にみないとと分かりません。
A事務所にお願いしたところ、9万円で、これは相場の範囲。
しかしB事務所に費用を確認したところ、7万円で済むという話になれば、A事務所へ依頼するのは損です。
このような例があるため、トータル料金を比較することが重要なのです。
比較方法としては、まずホームページをチェックして気になる事務所をいくつかピックアップ。
その後電話を入れて、料金について気になることはすべて質問しましょう。
信頼できそうな候補先をいくつかみつけて、相見積もりをお願いします。
相見積もりを取れば、トータル料金が分かるうえに比較もできます。
これで各種料金を設定する事務所に依頼しても、モヤモヤしません。
なお、先に固定資産評価額を出しておくと、見積もりを出してもらいやすくなります。

こんな場合は司法書士依頼がおすすめ

費用が高額だと思っても、さまざまな事情から自分で登記をするのが難しい方もいます。
面倒がって申請を先延ばしすると、財産権利を主張できなくなるなど思わぬトラブルに巻き込まれることも。
次のような方は、司法書士に依頼してなるべくはやめに登記を済ませましょう。

平日に空いた時間がない

会社勤めしている方は、平日役所回りする時間がなかなか取れないかもしれません。
多くの戸籍や住民票を集める必要があり、そのためには平日にまとまった時間を作る必要があります。
書類集めだけで、何日も要するケースもあります。
忙しすぎてとても自分で登記申請する余裕がない方は、無理をせず司法書士に任せたほうが無難です。

書類集めが苦手

必要書類の精査や収集、管理などの作業が苦手という方は、専門家にすべてお任せしたほうがいいかもしれません。
相続人特定のための戸籍は種類が多く、複数枚そろえる必要があります。
書類作業に慣れていない方は苦労するでしょう。
しかも、戸籍集めは根気のいる作業です。
被相続人の戸籍は出生までさかのぼらなければならず、相続人すべてを特定しないと受理されません。
また、昔の戸籍は解読が難解で、一般の人では読み取るのが難しく、そこでとどこおる人もいます。
解読不能な文字は役所の職員に聞けば教えてもらえますが、遠方の本籍地から取り寄せた場合は電話で質問することになり、手間がかかるでしょう。
最初から司法書士に依頼しておけば、このような弊害はありません。
「書類集めがとくに苦手」という方は、専門家への一任をおすすめします。

書類漏れがあってうまく進まない

骨の折れる戸籍集めに挫折して、途中から司法書士にバトンタッチする方もいます。
実際、依頼者が自力で集めた書類を司法書士がチェックしてみると、何かしらの書類が漏れているケースが多々あります
それほど、一般の方が一回の挑戦でパーフェクトに集めきるのは難しいのです。
何度も役所と事務所を往復したくなかったら、無理をせず司法書士事務所に依頼してください。

セルフ登記だと、一番安くすむ!

書類集めから申請まですべて自分で行えば、実費以上のコストはかかりません。

必要書類もすべて自分で集める

平日に動けるなら、書類集めも自分でできるでしょう。
相続登記に必要な書類は次のとおりです。

書類申請先
登記事項証明書市役所もしくは都税事務所
住民票関係書類住所地の役所
戸籍関係書類本籍地の役所
遺産分割協議書弁護士に作成を依頼
印鑑証明書
(遺産分割協議をする場合)
住所地の市役所
相続登記申請書法務局

このなかでもっとも苦労するのは被相続人の戸籍集めです。
戸籍は謄本・改製原戸籍・除籍謄本の3種類があり、いずれも本籍地での取得です。
相続人特定に必要な書類ですので、一枚でも欠ければ申請は通りません。
また、震災や戦災などで戸籍が焼失していれば、その事実を証明するための告知書を役所から発行してもらわなければならず、手間がひとつ増えます。
なお、本籍地が遠方であれば郵送OKですので、お願いしましょう。

相続登記申請書の作成も

相続登記申請書は、法務局㏋からダウンロードすれば入手可能です。
決まった書式に従い、必要事項を記入するだけなので、書き方はそれほど難しくありません
サンプルはインターネットで検索すれば比較的簡単に入手できるので、参考にしながら完成させるとよいでしょう。
書き方について分からないことがあれば、法務局に相談してください。
込み入った相談は難しいですが、簡潔な質問であれば受け付けてくれます。

すべての準備ができたら、法務局へ

戸籍もすべて整い、登記申請書も書き上げたら、いよいよ法務局へ申請です。
申請方法は、直接持ち込みもしくは郵送のいずれかを選べます。
法務局は全国の市区町村レベルにまで点在するものの、駅から遠くアクセスに不便です。
車がなくて直接出向くのが難しい場合は、郵送をお願いするのがよいでしょう。

セルフ登記できる人の特徴

次のような人は、書類集めから申請までご自身で完結できるかもしれません。

時間がある

時間に融通が利くと、役所や法務局にも通いやすくなります。
「平日時間があり、煩雑な書類集めも苦にならない」という方は、セルフ登記をおすめします。

インターネットに強い

戸籍や登記申請に関する情報は、インターネットから手軽に収集できます。
最後のステップである相続登記申請書の作成も、ネット検索すれば簡単にひな型を入手できるでしょう。
ネットリサーチが得意という方は、自力での登記も問題ないかもしれません。

費用比較だけじゃダメ? 事務所選びのポイント

ハズレの事務所を選ぶと、費用面で損するだけじゃなく、時間がかかったり遠方にまで来所することになったり、いろいろな不便が生じます。

相続登記が苦手な司法書士も?

司法書士であればだれでも登記が得意かといえば、そうとも限りません。
なかには相続登記を苦手とする事務所もあり、間違って頼んでしまうと手続きに時間がかかることもあります。
ホームページで調べる際は、相続登記を専門とする事務所か、実績があるかも含めて確認してください。

遠方すぎると交通費負担増

たとえ相続登記の専門家で、なおかつ費用が安くても、遠すぎる事務所はおすすめできません。
来所するのも大変ですし、交通費もかかります。
相続登記に慣れていて費用もリーズナブル、料金体系もクリーン、さらには通いやすい事務所を選びましょう。

注意! 弁護士への依頼

相続登記は、弁護士に頼むこともできます。
相続配分を決定する遺産分割協議書の作成は、弁護士の得意分野でもあり、その延長で相続登記をお願いするパターンがあります。
ここで注意したいのが、弁護士に支払う報酬です。
弁護士に相続登記を依頼すれば、代理手数料のほかに財産額の3%を請求されます
司法書士に頼むより費用は割高となるため、弁護士への依頼はあまりおすすめできません。
弁護士はオールラウンドに法律業務を取り扱えるため、相続登記もできないことはありませんが、それをメインに活動する法律家は皆無です。
相続登記を依頼するなら、登記の専門家である司法書士にお願いするのが一番でしょう。

まとめ

税金・書類集めに要する「実費」と、司法書士事務所に支払う「報酬」のふたつが、相続登記にかかるメイン費用です。
費用の高い・安いは、書類集めなどの作業をどこまで自分で行うかで決まります。
一番高いのは、書類集めも登記の申請もすべて司法書士にお任せする方法です。
「登記申請のみ」のプランがある事務所だと、すべてお任せより費用を安く抑えられるでしょう。
もっともリーズナブルなのは、セルフ登記です。
いずれの方法を選ぶにしても、メリット・デメリットがあります
費用だけにこだわらず、スケジュールや得手不得手なども判断材料に取り入れてください。
トータル的に判断することで、もっともニーズに合う方法を選べるでしょう。

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