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相続登記の必要書類は? 遺言があると少ない? 集め方のポイント

相続登記に必要な書類について、種類や取得方法の確認はお済みでしょうか?
書類の種類は、「相続不動産に関する書類」「被相続人に関する書類」「相続人に関する書類」に大別されます。
けっこうな数の書類を集めることになるので、だれの分の書類をどこで申請し、どういう方法で取ればスムーズかを理解しておかないと、整理がつかなくなってしまいます。
一枚でも漏れがあると手続きは完了できないので、必要書類と申請先、申請方法についてしっかり押さえておきましょう。
こちらでは、相続登記に必要な書類、集め方のポイント、遺言書がある場合との違いをご説明します。
相続登記を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

相続登記に必要な書類とは?

相続登記の必要書類は、「不動産」「被相続人」「相続人」というジャンルに分けられます。

相続不動産に関する書類

故人に不動産の財産がある場合は、所有権を証明する「登記事項証明書」と、課税額の計算に使われる「固定資産税評価書」があるはずなので、それらをそろえる必要があります。

登記事項証明書

土地建物に関する情報を記載した書類です。
所有者欄に被相続人の氏名が記載されていれば、その方の所有財産であることの証明となります。

固定資産税評価証明書

不動産の評価額を証明する書類です。
そこに記載された額をもとに、固定資産税など不動産にまつわる課税額が算出されます。
相続登記する際、国へ不動産の登録免許税を支払わなければなりません
固定資産税評価額が、登録免許税の計算根拠となります。

被相続人に関する書類

亡くなった親族、つまり被相続人に関する書類は以下のとおりです。

戸籍謄本

法定相続人の特定のためには、被相続人の戸籍謄本が欠かせません。
集める戸籍は「現在戸籍」「改製原戸籍」「除籍謄本」の3種類。

● 現在戸籍:最新の戸籍謄本。戸籍に入っている全員分の事項が記載されたもの。
● 改製原戸籍:戸籍法改正前の戸籍。コンピュータ化する前の古い戸籍も含む。
● 除籍謄本:死亡や離婚、転籍などで在籍者がだれもいない状態の戸籍。

法定相続人が現在戸籍一枚で足りる場合は、改製原戸籍も除籍謄本も必要ありません。
しかし、そのような例はまれです。
古い時代までさかのぼって調べる必要があるため、多くの場合は3種類の戸籍を取り出すことになるでしょう。
なお、戸籍謄本はコピーの提出をおすすめします。
複製の謄本があれば、法務局は原本を返却してくれるからです。

住民票除票

不動産の所有者と、被相続人が同一人物であることを証明するために必要なのが、住民票除票です。
住民票除票とは、転出時や死亡時に登録抹消された住民票のことです。
なぜ住民票除票が必要かといえば、多くの場合、登記簿の住所と本籍地が一致しないからです。
本籍地と登記簿の住所が一緒であれば必要ないのですが、大抵は一致しないため、住民票除票を添付することになります。

相続人に関する書類

相続人に関する必要書類は、戸籍謄本と住民票です。

● 戸籍謄本:相続権利を持つすべての人の分が必要
● 住民票:実際に相続して不動産登記する人の分のみあれば問題なし

戸籍謄本は、相続する・しないに関係なく、相続権利を有していれば提出が求められます。

相続不動産に関する書類の取得方法

「登記事項証明書」は法務局、「固定資産税評価書」は自治体および都税事務所が発行元となります。

登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書は、不動産所在地の法務局で取得します。
取得費用は約600円ですが、ネットでダウンロードする場合は400円で済みます。
住所地の法務局ではないため注意してください。
不動産が各地に点在する場合、県をまたいで法務局に出向く必要があります。
書類は直接窓口で請求してもよいですし、郵送してもらっても構いません。
法務局は全国の市区町村に点在するものの、駅から遠く、通いにくい不便さがあります。
車がない人は、郵送してもらうほうが便利かもしれません。

固定資産評価証明書

固定資産税評価書は、不動産のある市区町村役所で取得できます。
ただし、東京23区に不動産がある場合の申請先は、都税事務所です。
登記事項証明書と同じく、不動産が各地にある場合は書類の取得に手間と時間を要するでしょう。
役所や都税事務所が家から遠くて不便な場合は、郵送してもらいましょう。
発行手数料は400円程度で、郵送の場合は切手代がかかります。

被相続人に関する書類の取得方法

被相続人に関する書類集めは、戸籍関係の収集がメインとなるでしょう。
集める戸籍の種類は多岐で、しかもほとんどの場合一枚では済みません。

戸籍謄本

戸籍は、被相続人の本籍地で取得しなければなりません。
本籍地は、転居や結婚のタイミングで変更となるため、多くの人は出生地や現在の住所地と異なる本籍をもちます。
たとえば被相続人の最後の住所地が東京であっても、本籍地が東京だとは限りません。
最後の本籍地は、住民票除票で分かります。
住民票除票は住所地の役所で取得できます。
そこで本籍地が分かっても、結婚や引っ越しのタイミングで変遷した本籍をたどる作業が必要です。

戸籍をたどっていく作業

被相続人の戸籍は、役所に残っているものすべてを収集しなければなりません。
そうでないと、すべての子どもの存在を確定できないからです。
戸籍を全部そろえれば、隠し子も養子も前妻の子どももすべて分かります
「法定相続人がこれ以上いない」ことを証明するためにも、改製原戸籍・除籍謄本含むすべての戸籍をそろえる必要があるわけです。
その戸籍は、転居や結婚、離婚があるたびに、本籍が変更となり、取り出す場所もそれに合わせなければなりません。
司法書士に頼らず、自分で戸籍集めをする人のなかには、この戸籍集めで挫折するパターンが多くみられます。
一般的に戸籍は少なくて3枚程度、平均5~6枚、多いときは10枚以上に及ぶケースも。
被相続人が転居や離婚・結婚を繰り返している場合ほど、集める戸籍は多くなるのです。

戸籍が失われた場合に必要な書類

戸籍が震災や戦災で焼失し、取得できない場合もあります。
その際は、自治体に対し、戸籍謄本が交付できないことを証明する「告知書」の発行を申請してください。
これがあれば、やむをえない事情で法定相続人を特定できない事実の証明となります。

死亡を証明する書類

住民票の除票は、削除された住民票のある市区町村が管理しています。
被相続人の住民票除票の請求先は、死亡時の住所の自治体です。
住民票除票の保管期限は、基本的に5年。
自治体によっては5年以上保管するところもありますが、いずれにしても期限が定められています。
相続登記を放置すれば住民票除票の取得が困難となり、手続きに支障をきたす恐れもあります。

戸籍の附票が必要な場合

故人の住民票の住所と、登記簿上の住所が異なる場合、本人一致のための住民票附票を添付することになります。
たとえば、故人が息を引き取った場所が老人ホームの場合、住民票の住所と登記簿上の住所は一致しないでしょう。
ふたつの書類に記載された、住所の異なる被相続人が同一人であることを証明するために、住民票の附票が用いられます。
住民票の附票は、住所地の自治体窓口で交付してもらえます。

相続人に関する書類の取得方法

不動産を相続する人、相続する権利をもつ人に関する必要書類は、戸籍と住民票です。
遺産分割協議をするなら印鑑証明書もそろえる必要があります。

相続権利をもつ人全員分の戸籍

遺産を相続しても、相続しなくても、民法の規定で相続権利をもつ人は全員、戸籍を提出しなければなりません。
この作業には相続人の特定が前提となるため、被相続人の戸籍をすべて集めたうえで請求したほうがスムーズかもしれません。

不動産取得者の住民票

住民票は、不動産を相続する所有権者のみ用意すれば大丈夫です。
たとえば親が亡くなり、兄弟ふたりで相続する場合は、相続比率に関係なく兄弟それぞれの住民票が必要です。
兄のみ相続する場合は、兄の住民票だけで構いません。
ただし、戸籍は弟の分も必要です。

遺産分割協議をするなら印鑑証明書

遺産分割協議を経て財産の分配が決まった場合は、遺産分割協議書の作成にともなう印鑑証明書を準備します。
遺産分割協議書の作成では、協議の参加者全員の署名・押印が必須です。
実印署名のため、印鑑証明書がないと効力を有しません。

遺言書がある場合

遺言書がある場合は、戸籍などほかの書類と一緒に法務局に提出しなければなりません。
公正証書遺言があり、その内容どおりの相続になれば、集める書類は少なくなります。

遺言書の種類

遺言書は書き方によって「直筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に分かれます。

● 直筆証書遺言:遺言者が全文・日付・氏名を自書した遺言
● 公正証書遺言:公証人作成、かつ役場で原本を保管してもらう遺言
● 秘密証書遺言:遺言者が全文・日付・氏名を自書し、かつ公証役場で保管してもらう遺


これらのうち、「直筆証書遺言」と「秘密証書遺言」は裁判所での検認手続きが必要です。
検認手続きでは被相続人のすべての戸籍を提出する必要があるため、集める戸籍点数は遺言書がない場合とさほど変わらないかもしれません。

遺言があると必要書類は少なくなる

公正証書遺言があり、かつその内容どおりに遺産相続がなされれば、集める書類の数は大幅に軽減されるでしょう。
相続登記でもっとも枚数が多く、集める手間がかかるのは、相続人特定のための戸籍収集です。
公正証書遺言があればその内容をみて相続人を判断できるうえ、検認手続きも必要ないため手続き完了もスムーズです。
たとえば、全財産を息子に相続させるという公正証書遺言があった場合、戸籍は死亡記載のある除籍謄本と、相続者の戸籍謄本で間に合います。

書類集めの流れ

実際どのような流れで書類を集めていくのか、具体的な事例でみてみましょう。
司法書士に頼らず自力で書類集めを検討されている方は参考にしてください。
必要書類さえ集めれば、あとは司法書士にお願いして相続登記を申請してもらうだけとなります。

遺言書がなく、遺産分割協議でまとまるケース

母のいない一家で父が亡くなり、その所有財産を3人の息子が相続する話になったとしましょう。
亡父には、転居歴と離婚歴があります。

例1.亡父所有の不動産を、兄弟3人で相続する場合

相続財産額:2000万円
不動産:千葉県船橋市の土地
被相続人の最終本籍地:千葉県船橋市
長男の居住地:千葉県船橋市
次男の居住地:東京都大田区
三男の居住地:大阪府

以下の流れで書類集めをしたとします。

1. 法務局で登記事項証明書を取得
2. 役所で住民票・固定資産税評価書・印鑑証明書を取得
3. 故人の本籍地から現在戸籍・改製原戸籍・除籍謄本を取り寄せ
4. 本籍地から相続人の戸籍謄本を取り寄せ
5. 遺産分割協議書の作成

法務局で登記事項証明書を取得

不動産の所有権を確認するために、まずは法務局で登記事項証明書を取得。
申請先は、土地のある千葉県船橋市の法務局となります。

役所で戸籍・住民票・固定資産税評価書・印鑑証明書を取得

千葉県船橋市で取得できる書類は、「長男の住民票・亡父の戸籍謄本・住民票除票・固定資産性評価書および印鑑証明書」です。
次男・三男が相続するのなら、それぞれの居住地から住民票を取得する必要があります。

故人の本籍地から現在戸籍・改製原戸籍・除籍謄本を取り寄せ

亡父は何度か転居を繰り返し、離婚も経験。
戸籍法改製前の生まれのため、改製原戸籍も存在します。
本籍地をたどると、前妻と結婚した際に作られた戸籍にたどり着くでしょう。
かりにそこで子どもの存在が判明すれば、相続権利を有するため連絡を取る必要が生まれます
先方が相続する意志を伝えてきたら、遺産分割協議を開いて財産分割について話し合うのが通例です。

本籍地から相続人の戸籍謄本

相続権利をもつ兄弟3人の分が必要です。
前妻との間に子どもがいれば、その戸籍も本籍地から取り寄せることになります。

遺産分割協議書の作成

3人の間で相続分について争いがあったり、前妻との間に子どもがいたりすれば、協議の場を設けて話し合いが行われるでしょう。
遺産分割協議は通常、弁護士を入れて開かれるのが一般的です。
分割内容および署名捺印をした遺産分割協議書を、相続人それぞれの印鑑証明書と合わせて提出することになります。

遺言書の内容通りにまとまるケース

公正証書遺言書があり、その内容通りに相続が決まった場合、書類集めは簡素になります。

例2.亡父の相続財産1000万円を、公正証書遺言通り長男が相続する場合

相続財産額:1000万円
不動産:東京都北区の土地
亡父の最終本籍地:神奈川県横浜市
相続人の居住地:神奈川県横浜市

1. 法務局で登記事項証明書取得
2. 都税事務所で固定資産税評価書を取得
3. 市役所で住民票・戸籍謄本・除籍謄本の取得

法務局で登記事項証明書取得

登記事項証明書の申請先は、土地がある東京都北区の法務局です。
遠出する時間がなければ、郵送をお願いしても構いません。

都税事務所で固定資産税評価書を取得

土地を管轄する東京都北区で固定資産税評価書を取得します。
これも郵送でお願いできます。

市役所で住民票・戸籍謄本・除籍謄本の取得

横浜市で申請するのは、相続人の住民票と戸籍謄本、被相続人の除籍謄本です。
遺言通りの相続となるため、戸籍は被相続人の死亡を示す除籍謄本の一枚あればそのほかは不要。
住民票の除票が必要な場合も、本籍地市役所で申請すれば出してもらえます。
書類集めは特別な知識が必要というわけではないものの、煩雑で手間がかかるのが難しいところです。
なかには途中で挫折して司法書士に引き継ぎを依頼する方もいて、その作業は容易ではありません。
また、苦労して集めて司法書士に提出しても、何かしらの書類が欠けていることは多々あります。
何度も役所や法務局を往復しなくて済むよう、あらかじめ必要書類のチェックを。
また、時間がとれない場合は、最初から司法書士に代行してもらうという方法でもよいでしょう。

どれくらい戻ってくるのか?