債務整理中に借金の申し込みは可能?
債務整理中に新たに借金を申し込む…そんなことはできるのでしょうか?
債務整理中の借入先や、新たな借金をすることのデメリットについて、解説します。
【債務整理中の新たな借り入れ。できる?できない?】
原則としては「できない」
債務整理中にさらに新しく借金を重ねるなんて、ふつうはちょっと考えつかないと思うんですが、こんなことって本当にできるんですか?
もしあるとすれば、どういったケースが多いのでしょう。
一番多いのは、債務整理中の返済が滞ることによる不安から、返済のためのお金を借りて一時しのぎをするというパターン。
ほかにも個人的に借金をする理由はいろいろあると思うけど、債務整理中に新たにお金を貸してくれるところなんて、まずないと思った方がいいだろうね。
そもそも債務整理をしているということは、ブラックリストに載っている真っ最中ということですものね。
銀行や一般的な消費者金融、クレジットカード会社は通常貸してくれません。
まあ、貸す貸さないは貸金業者次第というところもあるし、実際にインターネット広告で「債務整理中でも貸します」とうたっている業者もいる。
でもそういうところから借りると最後どうなるかは…いわずもがなだよね。
一度債務整理をした人なら、無謀な借金のてんまつは嫌というほど知っているはずなので、よく思い出して冷静な行動をしてほしいですね。
あとで詳しく述べるけど、もし返済が厳しくなったら、すぐに司法書士や弁護士に相談して、返済期間や回数を見直すのが最良の策。
新たな借金を重ねることは、絶対におすすめしません!!
まとめ
◆債務整理中の新たな借り入れは、原則として「できない」
◆債務整理中に返済が難しくなったら、すぐ司法書士に相談して返済計画を見直す
【債務整理中に借金をするデメリット】
デメリット①司法書士に辞任されてしまう
債務整理中になんとか業者を探して、新たに借金ができたとします。
借りられた本人はほっとしているかもしれませんが、きっとデメリットもたくさんあるんでしょう。
具体的に教えてください。
まず最大のデメリットは、債務整理を依頼していた司法書士に辞められてしまうこと。
え?司法書士の先生から愛想をつかされるということですか!?
債務整理中の依頼人と司法書士のあいだには、なによりも信頼関係が大切なんだ。
「借金をしてしまったけどできるだけ返済したいから、力を貸してください」といわれて、その人間性を信じて依頼を受けたのに、勝手に裏切るようなことをされたら、信頼関係はすべて崩れ去ってしまう。
依頼時の契約書にもきちんと「双方の信頼関係が失われた場合には、辞任もやむなし」といったことが書かれているはずだよ。
「信頼関係」なんて目に見えないものが、契約書に文面として書かれているとは知りませんでした。
でもやはり人間同士のやり取りですから、信頼を失うことを自らしてしまっては、関係を続けることはできませんね。
ちなみにこれも契約書に書いてあるけど、もしも依頼者側の行動が原因で司法書士が辞めることになった場合、着手金だけは払わなければならないケースもあるので、要注意。
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【いろいろある!司法書士に辞任されてしまう理由】
司法書士に辞められてしまう原因は、債務整理中の借金だけではありません。
以下に、司法書士の辞任理由の代表的なものをまとめました。
・依頼者と連絡が取れない ・依頼者が手続に必要な書類をなかなか集めない ・依頼者が着手金を支払わない ・任意整理や個人再生の返済を何度も遅延・滞納する |
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デメリット②債務整理の交渉が破綻、督促が再開する
それで、司法書士の先生に辞められてしまうと、具体的にはなにが起こるんですか?
別な先生に依頼すればそれでおさまるような気もしますが…。
前の司法書士に辞任されたということはしっかり記録に残るので、そのような人物からの依頼をかんたんに引き受けてくれる司法書士は、そういないだろうね。
「前の先生はどうして辞められたんですか?」
とつっこんで質問されることが大半だと思うよ。
なるほど…そうなるとこれまで司法書士の先生が進めてくれていた、債務整理の交渉をすべて自分でやらなくてはいけないことに!?
とくに個人再生や自己破産などの裁判所がからむ手続は、とても個人では無理そうです。。
法的には司法書士や弁護士を立てずに進めてもよいとされているけど、法律の知識がない人が一人でやるのは、現実的にはなかなか難しいだろうね。
結果として、債務整理手続は途中で頓挫し、これまでの苦労が水の泡になってしまうことに。
厳しいです(>_<) そして債務整理手続が破綻するということは、元の借金が復活するということなので、当然債権者からの督促も…
前よりもパワーアップして復活するだろうね。
司法書士からの「辞めます」という辞任通知が送られてきた時点で、債権者は取り立てを再開していいことになっていて、別に違法でもなんでもない。
これまでストップしていた督促状などが自宅にじゃんじゃん送り付けられて、家族には秘密にしていた債務整理がばれてしまったという話も聞くよ。
デメリット③免責されず、借金が一円も減らない
債務整理手続中に借入れするということは、自己破産を申し立てていても免責不許可事由となって、免責はされず、借金は一円も減らないまま、裁判費用だけがかかることになりかねないんだ。
債務整理中の安易な借金、本当にデメリットだらけですね。
万が一貸してくれる業者があっても、絶対に手を出さない方が賢明です!
ちなみに、債務整理中に自分の私物を「質入れ」して現金化することも借金に当たるそう。
なにかしら“お金”にまつわる行為をするときは、まずは司法書士や弁護士の先生に相談が鉄則です。
まとめ
◆債務整理中の新たな借り入れはデメリットだらけ
◆債務整理手続中に司法書士に辞任されると、借金が一円も減らない可能性がある
【債務整理中に返済が滞ったときは】
任意整理中に返済が滞ったら
任意整理中に返済が滞ってしまった場合、いったいどうすればいいのでしょう?
任意整理の場合は、すみやかに債権者と交渉し返済期間の延長を申し込もう。
当然最初の交渉よりは難航するとは思いますが、まずは司法書士の先生に相談するといいね。
たとえば200万円の借金を3年(36回)で返済する場合、1回あたりの返済金額は2,000,000÷36≒約55,000円ですね。これを5年(60回)払いに延長してもらうとなると、2,000,000÷60≒約33,000円!毎月の負担額としては、ぐっと抑えられる印象ですね。
そう、借金の期間が長くなることを除けば、返済期間の延長は債務者にとってメリットが大きいんだ。
しかし貸金業者によっては、会社の規則で期間延長を認めていない場合もあるから、最初の任意整理時に最大返済期間の5年で設定しておくのも手だね。
予定よりも早く返す分には、誰も文句をいわないから。
仮に返済期間延長の交渉がうまくいったとします。
しかしもし、延長後の返済中にもまた送金が滞ってしまったら、どうなりますか?
不履行が認められるのは、通常、任意整理和解時に1度きりと決められているので、基本的に再延長はないんだ。
その場合は個人再生か自己破産手続に移行するしかないね。
個人再生中に返済が滞ったら
個人再生の場合でも返済期間延長を申し込むのは同じだけど、「最大で2年(5年間)まで」という制約が付く。
そして、再生計画変更は「やむを得ない事由」がないと認められないんだ。
やむを得ない事由…たとえば本人が病気で働けなくなったり、勤め先の会社が倒産したりということでしょうか。
それに加えて、急な介護で働けなくなったということも、近年「やむを得ない事由」として認められるようになってきたかな。
あくまでも裁判官の判断なので絶対とは言い切れないけど、返済期間の延長については寛容な場合が多い。
延長すれば払いきれる、ということであれば、なるべく返済してもらった方が債権者にとっても有益だからね。
もちろんギャンブルやショッピングにお金を使ってしまって、返すお金がなくなったという理由では認められませんね。
あくまでも本人に責任がない、自己都合以外の利用である必要があります。
また、あくまでも認められるのは「返済期間の延長」のみであって、未返済分の借金がさらに減額されるということはないよ。
すでに最初の再生手続で借金を圧縮してもらっているのだから、コツコツと返していくしかない。
最後の切り札!ハードシップ免責とは
ちなみに、最大で2年返済を延長してもらったとしても「もう絶対返せない」という人もいないとは限りませんよね。
その場合はただちに自己破産するしかないでしょうか?
実は“最後の切り札”とも呼べる、特例措置がなくはないんだ。
「ハードシップ免責」といって、どうしても個人再生中に返済が不可能になってしまった場合、自己破産することなく、残りの借金を全額帳消しにしてくれる制度だよ。
しかしこれは本当に認められるのが難しく、一年にわずか数件くらいしか事例がない、“特例中の特例”であることを忘れないでほしい。
一年に数例のみ!
それは本当にレアケースですね。
ちなみに「ハードシップ免責」が認められるには、どんな条件があるんですか?
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【ハードシップ免責が認められるための4つの要件】
1.債務者に責任のない事情で、再生計画通りの借金返済が極めて困難になったこと 2.借金総額の4分の3以上を返済していること 3.ハードシップ免責の決定が、債権者の一般の利益に反しないこと 4.再生計画を変更しても支払いの継続が極めて困難であること、あるいは再生計画の変更が極めて困難であること |
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上記の4つの要件をすべて満たして初めて、ハードシップ免責を受ける資格が与えられるんだけど、なかなか難しい。
とくに2と3が厳しいかな。
3の「債権者の一般の利益に反しない」というのは、要するに自己破産申請して財産をすべて処分した場合よりも、今回のハードシップ免責の結果のほうが債権者にとって有利である、ということなんだけど…
ぜんぜん意味が分かりません!
具体的な事例をあげていただけますか?
たとえば、Aさんという債務者が個人再生をして、全額で120万円の借金を4年間で返済する計画を立てたとしよう。
Aさんはこれまでの3年間は順調に返済を重ね、全額の3/4つまり90万円はすでに返済が完了したところで、突然病気に倒れて働けなくなってしまった。
病気は治る見込みがなく、当面収入を得られる手段はない。
この時点ですでに、ハードシップ免責要件の1、2、4をクリアしているように思えます。あとは3ですが…
そう、ここでもしAさんが最初から個人再生じゃなく自己破産を選択していたとしよう。
Aさんは個人再生手続の開始時点で、住宅ローン以外に100万円相当の財産があったんだ。
つまりもし最初から自己破産していれば、債権者は100万円を返済してもらえたことになるよね。
あっ!
それが「債権者の一般の利益に反する」ということですか!
今まで返済してもらった90万円より、自己破産で返してもらえたはずの100万円の方が、わずかながら多いということになる…
そうなんだ。
なので、Aさんは残念ながらハードシップ免責の要件は満たしていないと見なされて、この場合だと自己破産を選択するしかなくなってしまう。
ハードシップ免責の要件がいかに厳しいか、わかったかな。
せっかく90万円も返したのに、結局自己破産して残りの財産も没収とは、ガッカリですね。。
病気や会社の倒産など不測の事態も踏まえて、個人再生での返済が難しそうな場合は、最初から自己破産しておくのもありなのかなぁ。
ちなみに、ハードシップ免責の決定に係る再生計画認可決定確定の日から7年以内の自己破産は、「免責不許可事由」に該当してしまい、免責が認められない場合があるよ。
これを考えても、ぎりぎりの個人再生計画はリスクが大きいといえるね。
まとめ
◆任意整理中に返済が滞ったら、債権者と交渉し返済期間を延長する(2度の不履行は認められない)
◆個人再生中にやむを得ない事由で返済が滞ったら、再生計画を見直し、返済期間を延長する(最大で2年の延長が可。5年に延長した場合、再延長は認められない)
◆個人再生の返済期間を延長しても返済しきれないと思える場合には、「ハードシップ免責」を利用。しかし免責される要件は非常に厳しい。
【債務整理中にどうしても借金をせざるを得ない場合は】
公的融資や保険担保などがあるが、おすすめしない
債務整理中にどうしても新たな借金をせざるを得ない場合、冒頭に述べた違法業者や闇金以外に、各種「公的融資」や保険の返戻金を担保にした「保険担保」などが借り入れ先の候補としてあげられます。
しかし、前述したとおり債務整理中の借り入れは百害あって一利なし。
まずは司法書士又は弁護士に相談しましょう。
【債務整理中に借金を申し込める借り入れ先】※闇金以外
1)公的融資・・・公的機関で安全だが、審査に時間がかかる ・生活福祉資金 ・母子父子寡婦福祉資金 ・年金担保貸付 ・緊急小口資金 ・総合支援金資金貸付 など2)契約者貸付・・・自身が契約した保険会社から、保険返戻金を担保に借り入れする |
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