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相続登記の登録免許税と具体的事例

移転に伴う様々な税

不動産の所有権の移転の登記に関する税は、大きく4つに分類されます。
「売買その他の原因による移転」「遺贈、贈与その他無償名義による移転」「相続又は法人の合併による移転」「共有物の分割による移転」の4つです。
これらの税率は、実はかつては現在よりも高く設定されていました。
しかし、政府のデフレ対策の一環として土地流通の促進を目的として土地を取得する際の税率が軽減され、また不動産登記に係る登録免許税の税率を簡素化するという法改正が行われたのです。
これにより、税率は引き下げられ、不動産の取得を行いやすくなりました。
中でも取得者本人の意志にかかわらず取得することになる相続登記の登録免許税はかなり低く抑えられており、負担感はかなり低くなったと言えるでしょう。

それでは、具体的にはどれくらいになるのか。
また、登録免許税の計算の際に必要になる書類はどのように取得すればいいのか、順を追って確認していきましょう。

登録免許税の計算に必要な書類は?

固定資産税評価証明書とは?

登録免許税の計算を行う際、必要となるのが「固定資産税評価証明書」の取得です。
これは耳馴染みのない書類かもしれませんが、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて評価した価格を市長が決定し、固定資産課税台帳に登録したもののことを言います。
この書類に記載された金額が、不動産に課税される税金の計算根拠となり、登録免許税の計算にも使用されることとなるのです。
また、土地、建物を売却する際の価格の参考値にもなっています。

固定資産の評価額は、3年ごとに評価替えが行われることとなっています。
ただし、新築や増改築等をした家屋及び地目の交換、文筆、合筆等のあった土地については翌年度に新しい価値が決定されます。
売却や相続により所有者が変更になった場合には固定資産の評価額は変更されません。

固定資産税評価証明書の取得方法

固定資産税評価証明書の取得には、いくつかの方法があります。

・原則的な取得方法

基本的には、固定資産税評価証明書を取得する場合、市区町村役場の課税課や都税事務所、市税事務所等で200円から400円程度の手数料を支払うことで取得出来ます。
この手数料は地方税なので、各市区町村によって金額は異なりますが、莫大な負担になるということはありません。
近年では駅などにある証明書発行コーナーで必要書類を提出することで取得することが可能な場合もあります。
また、郵送での取得も可能なので、各市区町村のホームページなどで確認してみましょう。

・無料で取得出来る場合もある?

実は、固定資産税評価証明書は無料で取得出来る場合もあります。ただし、その方法は少々面倒臭いものとなっています。
地方税法422条の3の固定資産税評価額通知書交付申請書と登記情報、相続人の戸籍、司法書士が行う場合には依頼書などの添付書類を用いて出来る場合もあります。
ただし、固定資産税評価額通知書交付申請書にあらかじめ法務局で印鑑を貰う必要があるなど、移動距離や手間、時間等を考えると通常の手数料を支払った方がかえって負担が少ないという場合もあります。
もしも他の用事があり法務局へ行く必要があるなど、他の予定がある場合にはこの方法で取得するというのもいいかもしれません。

・固定資産税納税通知書に添付されている課税明細書で代用は出来る?

毎年4月になると、土地や建物を所有している場合には固定資産税納税通知書が送付されてきます。この納税額から登録免許税を計算することも可能です。
ただし、公衆用道路など固定資産税が非課税の土地を相続することになっている場合は注意が必要です。
というのも、固定資産税は非課税であっても、相続する場合にはその土地にも課税されることになっているためです。

これらの方法によって取得した固定資産評価証明書を使用し、相続登記の登録免許税を計算していきます。

移転の登記に関わる各税率について

所有権の移転の登記に関する税率は、次の通りとなっています。

売買その他の原因による移転……2%
遺贈(受遺者が遺言者の法定相続人である場合を除く)、贈与その他無償名義による移転……2%
相続又は法人の合併による移転……0.4%
共有物の分割による移転……0.4%(ただし、一定の要件あり。あてはまらない場合は2%)

上記の通り、相続登記の登録免許税は0.4%となり、移転の中では低い税率と定められています。

この場合注意が必要となるのは「相続」と「遺贈」の違いです。
上記の遺贈は「法定相続人ではない人が相続する場合」を指し、この場合には税率が2%と定められています。
計算の際には、自らが法定相続人であるのかどうかという点について、きちんと確認しておく必要があります。

相続登記の登録免許税の計算方法は?

ここから先は、法定相続人として土地を相続したという前提で説明を行います。
先ほども説明した通り、相続登記の登録免許税は0.4%となります。
また、課税価格は1,000円未満を切り捨てることになっています。
例えば、1,125万7,354円の土地に課税する場合は「1,125万7,000円」として計算を行います。
ここに0.4%を乗算すると、
1,125万7,000円×4/1,000=4万5,028円
また、登録免許税額は100円未満を切り捨てることになっているので、この場合の登録免許税は「4万5,000円」となります。

登録免許税の納め方の注意点は?

上記の計算式で算出した登録免許税は収入印紙を貼付する形で納めます。
収入印紙は法務局か郵便局で購入することが出来ます。
この際、消印は絶対に押してはいけません。
消印を押してしまうと「使用済み」とみなされ、無効となってしまいます。
その際、誤って使用してしまった収入印紙を取り戻すことは出来ないため、全てを無駄にしてしまうことになります。
繰り返しますが、消印は決して押さないように気をつけましょう。

マンションの物件を相続した場合の登録免許税の計算方法は?

「敷地権付き区分建物」と「敷地権無しの区分建物」

マンションなどの物件は「敷地権付き区分建物」と「敷地権なしの区分建物」の二種類にわかれています。
例えば一戸建ての場合には、建物を建てるための土地と建物と、それぞれの所有権を持っていて、またそれぞれ登記簿に登録しています。
マンションにおいてもそれは同様に考え、かつては土地と建物の権利を別に登録していました。
つまり、土地は「土地登記簿」、建物は「建物登記簿」とそれぞれ別の登記簿に登録する必要があります。
ところが、マンションの場合、この原則を貫いていくと、公示上の問題が出てきます。土地を共有してその上の建物(専有部分)は個別に所有している状態ですが、大規模マンションだと200戸~300戸存在することになりまして、その場合土地の登記簿は非常に煩雑になります。共有者分の情報が土地の登記簿謄本に登載される訳ですから、極めて膨大な枚数となります。昔の法務局の職員や司法書士、当事者の方々は、このようなマンションの土地の登記簿謄本を閲覧する際等、対象となっている土地の部分を探すのに一苦労でした。また紙の資源も相当程度使われており、保管もまた一苦労でした。そこでこのような公示上の問題を解決すべく、建物の謄本を見ることで一覧的に土地の状態も調べることができるようになった経緯があります。

現在は、敷地権付区分建物の建物(専有部分)の謄本を取ると、敷地権(土地)の情報も登載されております。

敷地権付区分建物を相続した場合の登録免許税の計算方法は?

敷地権付の区分建物の場合、計算方法がやや複雑になります。
固定資産税評価証明書に記載された金額をよく見て、計算方法を間違えないようにしましょう。
敷地権付きの区分建物の登録免許税の計算方法は下記の通りです。

1. 建物の評価額を計算する
固定資産税評価証明書に記載の金額をそのまま記載します

2. 敷地権の評価額を計算する
固定資産税評価証明書に記載されている金額はマンション全体の金額なので、
敷地権の持分を乗じ、自分の所有している割合を算出し、記載します。

3.1と2を合算し、1,000円未満を切り捨てる

4.上記3に0.4%を乗じ、100円未満を切り捨てる

具体例)

固定資産税評価書に記載されている建物の評価額が789万7,316円、マンション全体の土地の評価額が7,775万2,290円(持分1/100)の場合

1. 建物の評価額→789万7,316円
2. 土地の評価額→マンション全体の評価額7775万2,290円の1/100=77万7,522円
3. 789万7316円+77万7,522円=867万4,838円→1,000円未満切り捨てて、867万4,000円
4. 867万4,000円×4/1,000=3万4,696円→100円未満切り捨てて、3万4,600円

※固定資産税評価証明書への記載金額の詳細は地域によって異なるため、記載内容や合計する金額には注意が必要です。特に敷地権の評価額の計算の際に、持分がどのように記載されているかは誤りやすいためよく注意しましょう。

敷地権なし区分建物を相続した場合の登録免許税の計算方法は?

敷地権なしの区分建物の場合、基本的には固定資産税評価証明書に記載された金額をそのまま記載するだけで問題ありません。
敷地権なしの区分建物の登録免許税の計算方法は下記の通りです。

1. 建物の評価額を記載する
固定資産税評価証明書に記載されている建物の金額をそのまま利用する
2. 土地の評価額を記載する
固定資産税評価証明書に記載されている土地の金額(持分)を記載する
3. 上記の1と2を合算し、1,000円未満を切り捨てる
4. 上記の3に0.4%を乗算し、100円未満を切り捨てる

具体例)

固定資産税評価書に記載されている建物の評価額が789万7,316円、土地の評価額が77万7,522円の場合

1.建物の評価額を記載する→789万7,316円
2.土地の評価額を記載する→77万7,522円
3. 789万7,316円+77万7,522円=867万4,838円→1,000円未満切り捨てて、867万4,000円
4.867万4,000円×4/1,000=3万4,696円→100円未満切り捨てて、3万4,600円

敷地権付きと敷地権なしの場合とでは、上記のように計算方法が大きく異なります。
間違えて計算してしまわないよう、充分に注意しましょう。

共有持分を相続した場合の登録免許税の計算方法は?

まずは登記簿謄本をしっかり確認

これはいずれの場合でも同じですが、亡くなった方が土地家屋を所有している場合には、登記簿謄本をしっかりと確認する必要があります。
その際、被相続人が持分所得者であった場合は注意が必要です。
被相続者の持分の部分だけが相続人へと引き継がれ登記を行うことになりますが、その際に掛かってくる登録免許税は持分を乗じた金額から算出することになるためです。

具体例)

登記簿謄本に記載された土地全体の金額が382万6,458円、被相続人の持分が185/200であった場合
被相続人の持分は、382万6,458円×185/200=353万9,473円
課税価格は1,000円未満切り捨てになるので、353万9,000円となり、ここに0.4%を乗算します。
353万9,000円×4/1000=1万4,156円
100円未満は切り捨てとなるため、登録免許税は1万4,100円となります。

相続登記の登録免許税は納めなくていい場合もある?

ここから先は若干特殊なケースとなりますが、実は相続登記の登録免許税は一定の条件を満たした場合、納めなくてもいい場合が存在します。

相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合

例えば、Aさんが死亡し、その土地をBさんが相続することが決定しました。
そのため相続に関する登記手続きを行う予定がありましたが、手続きを行う前に病に冒されてしまい、手続きを出来ないまま死亡してしまいました。
その土地は法定相続人であるCさんに相続されることとなり、手続きを行うのはCさんになります。
この際、相続登記を行えずに亡くなったBさんの分の登録免許税は免除となり、支払う義務はなくなります。

また、この場合Cさんが土地を相続せずにBさんが生前に第三者に売却していたというケースでも、Bさんの分の登録免許税は支払う必要がありません。

いずれの場合でも、免税を受けるには申請書に下記の通り法令の条項を記載する必要があります。
「登録免許税 租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」
また、現時点ではこの特別措置法の適用期間は令和3年3月31日までとなっています。

市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価格が10万円以下の土地の場合

こちらは少々ややこしいケースになります。
所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法が成立して以降、市町村の行政目的のため土地の所有権の移転登記の促進をとくに図る必要があると法務大臣が定めた土地については、登録免許税を免除するケースがあると定められました。
その場所や金額に詳細な制限があるため該当する土地であるかどうか分かりづらいという問題はありますが、法務局・地方法務局のホームページにて法務大臣が指定する土地について掲載されていますので、一度確認してみると税負担が軽くなるケースもあります。

こちらも、申請時に下記のように記載する必要があります。
「登録免許税 租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」
また、この特別措置法の適用期間は令和3年3月31日までとなっています。

おわりに

相続登記は面倒臭いだけでなく、税負担まであるために良い面がないと感じる人も多いかと思います。
しかし、将来的に大きな問題へと繋がってしまうため、しっかりと向き合わなければなりません。
だからこそ、少しでも正しい知識を得て、スムーズに、なおかつ負担が少なく登記を行えるようにしましょう。

どれくらい戻ってくるのか?