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「相続登記申請書」のノウハウを完全公開

遺産相続に伴い、必ずといっていいほど発生するのが不動産登記の書き換え。
細かな手続きはややこしい、面倒臭いと思われる方もいるかもしれませんが、実は不動産の登記申請は注意点さえしっかりと押さえておけば意外と簡単に行うことができます。
ここでは、現役の司法書士が、遺産相続に関わる「相続登記申請書」の記載方法、各種ポイント、綴り方等、自分で相続登記を申請する場合のノウハウをわかりやすく説明いたします。
必要な書類や申請書の記載方法、綴る際の順番や契印の方法など、当たり前すぎて今更聞くのは恥ずかしい、というような内容も丁寧に掲載しています。
ちょっとした疑問の解決にお役立てください。
ここでは、下記の内容について順を追って説明していきます。

●必要書類について
●相続登記申請書の書き方
●相続登記申請書の綴じ方
●「相続登記申請書」に使用する印鑑について
●「原本還付」とは
●「相続登記申請書」の代理人は誰になるのか?

必要書類について

「相続登記申請書」を作成するにあたって必要となる書類は下記の通り。
全て揃えてから書類作成を開始するとスムーズに進むでしょう。
書類には、大きく分けると「役所などで取り寄せるもの」と「自作または専門家に依頼するもの」との2種類に分けられます。
役所で取り寄せる書類の中には他の書類の提出の際にも併用するものも多くありますので、下記の一覧を参考に、どれを何枚用意しておく必要があるのか、どれは併用出来るのかを確認しておくと無駄を省くことが出来るかもしれません。
なお「相続登記申請書」の提出の際は、ほとんどの書類の原本はコピーを添付することによって処理後に返却してもらうことが出来ます(詳細は「原本還付」の項で説明します)。この制度を活用することで、原本を何度も発行するという手間や費用を省くことが出来ますので、是非ご活用ください。
自作または専門家に依頼して作成する書類もありますが、それ以外は役所等で発行してもらうことになります。

<必要書類一覧>

〇提出時に添付する必要のある書類
・戸籍(戸籍事項全部証明書・改製原戸籍・除籍謄本)
・相続関係説明図 ※戸籍を元に作成・自作または専門家に依頼
・遺産分割協議書 ※自作または専門家に依頼
・住民票
・住民業の除票又は戸籍の附票
・印鑑証明書
・代理権限証書 ※司法書士に登記申請を依頼する場合、自作の場合は不要

〇申請書作成にあたって参照する書類
・固定資産税評価証明書
・登記簿謄本

相続登記申請書の書き方

「相続登記申請書」は、一定のルールに従って記載すれば誰でも作成が出来ます。
一部注意が必要になる箇所もありますので、そちらは要注意。また、基本的には役所で発行される書類等に記載されている住所、氏名等をそのまま書き写すようにしましょう。
ただし、書き方を誤ると申請が通らずに修正依頼の連絡が入るので注意が必要です。とはいえ、必要な部分を修正すれば最終的には申請を通してもらえるので、注意を払いつつ作成すれば問題ありません。
「相続登記申請書」は、下記のような書式となっています。

登 記 申 請 書

登記の目的  所有権移転  *1

原   因  平成31年2月1日相続  *2

相 続 人  (被相続人 相 澤 太 郎) *3
○○郡○○町○○34番地
(注3)
(申請人) 持分2分の1 相 澤 一 郎 印
○○市○○町三丁目45番6号
(申請人) 持分2分の1  相 澤 良 子 印
連絡先の電話番号00-0000-0000

添付情報 *4
登記原因証明情報 住所証明情報

送付の方法により登記識別情報通知書及び原本還付書類の交付を希望する *5
〇〇市〇〇町〇丁目〇〇番 相澤 一郎

平成31年3月31日申請 ○○ 法 務 局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所) *6

課税価格   金2,000万円 *7

登録免許税  金8万円 *7

不動産の表示 *8
所   在  ○○市○○町一丁目
地   番  23番
地   目  宅 地
地   積  123・45平方メートル

所   在  ○○市○○町一丁目23番地
家屋 番号  23番
種   類  居 宅
構   造  木造かわらぶき2階建
床 面 積  1階 43・00平方メートル
2階 21・34平方メートル

こういった申請書の雛形はインターネット上に散在しています。
また、法務局のホームページを見ると何種類か、登記の目的や原因で別れたものが掲載されていますが、基本的な事項はどれも同じなのでどれを使っても問題ありません。
また、必要事項さえ記載されていれば自作することも可能です。

申請書内のそれぞれの項目について、おさえるべきポイントを説明します。

1.登記の目的

「所有権移転」か「持分移転」かを記載します
※「持分」とは?
ある不動産を2名以上で共有している場合、その自分の所有分のことを「持分」と
言います。2名で所有している場合は「持分2分の1」3名ならば「持分3分の1」
となります。
その不動産を1名で所有している場合には「所有権移転」となります。

2.登記原因

「年月日相続」か「遺贈」かそれ以外かを記載します
※「年月日相続」は死亡した人物の死亡日を記載します。
例)平成31年2月1日に所有者が亡くなった場合
→「平成31年2月1日相続」
※「遺贈」は遺言書に基づいて相続する場合に記載します。

3.申請人

物件を相続する方に氏名住所。「持分」は持分移転の際のみ記載する。
所有権移転の場合は記載しません。
※ここに記載する電話番号は、申請書にミスがあった際に電話が掛かってくる連絡先
となります。
そのため、すぐに出られる番号を記載しましょう。
携帯電話の番号でも問題ありません。

4.添付書類

「登記原因証明情報」「住所証明書」が最低限必要となります。
※登記原因証明情報:戸籍・遺産分割協議書
※住所証明書:住民票
添付する書類の内容については「相続登記申請書の綴じ方」の項、ならびに「原本還付」
の項にて詳細に解説します。
また、司法書士に登記申請を依頼する場合は「代理権限証書」も添付します。
この添付書類は一定の処理を行うことでコピーを添付し、原本は登記完了後に返却して
もらうことが可能です。
こちらも詳細は「原本還付」の項で説明します。

5.登記完了後の登記識別情報及び原本還付書類の返却方法

郵送で自宅等に返却してもらうために記載します。
※この項目は法務局の申請書雛形には載っていません。
こちらを記載しない場合、自ら登記所まで取りに行く必要があります。
※また、法務局の雛形にはこの欄に「登記識別情報の通知を希望しません」という
チェックボックスが記載されていますが、通知しない場合・通知する場合でそれぞれ
メリット・デメリットがあるため注意が必要です。

6.申請年月日及び管轄登記所

申請書を提出する日を記載します。
郵送申請の場合は発送日で問題ありません。
登記申請所はインターネットで調べて記載します。
これは物件がある場所の該当する申請所になりますが、思っていた場所と違うということもありますので必ず調べる
ようにしてください。

7.課税価格及び登録免許税

課税価格は「固定資産税評価証明書」を見て記載します(1000円未満切り捨て)。
登録免許税は課税価格の0.4%となりますので、自分で計算し算出してください。
ただし、共有する不動産の場合は自分の持分の価格となるため、こちらも全体の課税価格
から自ら計算してください。
(持分2分の1の場合は÷2、持分3分の1の場合は÷3、という計算方法です)

8.不動産の表示

「登記簿謄本」に記載されている通りにそのまま書き写します。
この際、不動産番号は記載してもしなくても問題ありません。
また、不動産番号を記載しても、必ず所在、地番、地目、地積全てを記載しましょう。

相続登記申請書の綴じ方

「相続登記申請書」の綴じ方は、明確にこの順番にしなければいけないという決まりはありません。
「相続登記申請書」と「収入印紙を貼付した用紙」は連続させるべきですが、その後に添付する書類に関しては順番に決まりはないため、自信がわかりやすいように並べれば問題ありません。
下記の書類全てをひとまとめにし、ホチキスで閉じます(左側2か所)

おすすめの順番

1.相続登記申請書
2.収入印紙を貼付した用紙(これは決まった様式はないので白紙でOK)
3.添付書類 ※「相続関係説明図」以外はコピーでOK
詳細は「原本還付」の項で説明します

【添付書類の一覧】

・相続関係説明図原本 ・住所証明書 ・住民票の除票又は戸籍の附票
・遺産分割協議書   ・印鑑証明書

綴じ方の注意点

収入印紙には消印は押さず、まっさらな状態のままにしておきます。
「相続登記申請書」と「収入印紙を貼付した用紙」が2枚以上にわたる場合は「契印」を
押す必要があります。
「契印」とは下記のように、用紙を折り曲げて割印のような形で押印する方法です。

契印に使用する印鑑は「相続登記申請書」に押印したものと同一の印鑑です。
詳細は次の「使用する印鑑について」の項で説明します。
添付書類にも契印が必要となりますが、押印の方法は「原本還付」の項で説明します。
また、添付書類の原本還付を受ける際にはその旨を記した用紙の添付も必要となります。
用紙の作成方法についても「原本還付」の項で説明します。

「相続登記申請書」に使用する印鑑について

「相続登記申請書」に用いる印鑑は、実印でなければいけないのか、それとも認印で構わないのかという問題について説明します。
印鑑が必要となるのは下記の3種類です。

1)申請書の表紙に押印する印鑑
2)申請書から印紙台紙までに押印する契印の印鑑
原本還付書類のコピー間に押印する印鑑
3)遺産分割協議書に押印する印鑑

それぞれについて、詳細に解説します。

1)申請書の表紙に押印する印鑑……「認印」を使用

司法書士に依頼せずに自分で相続登記を申請する場合は「相続登記申請書」の申請人
の欄に押印します。

2)申請書から印紙台紙までに押印する契印の印鑑

原本還付書類のコピー間に押印する印鑑……「認印」を使用
「相続登記申請書」に押印した印鑑と同じ印鑑を使用して押印します。

3)遺産分割協議書に押印する印鑑……「実印」を使用

遺産分割協議に関与した全ての方の実印の押印が必要となります。
この際必要となる「印鑑証明書」に関して、期間の制限はありません。

「原本還付」とは

「原本還付」とは、コピーを法務局に提出して原本を返してもらう制度のことをいいます。
次に説明する処理を行うことで、下記の書類の原本を返却してもらうことが可能となります。

<原本還付を受けられる書類>

・住民票
・住民票の除票又は戸籍の附票
・戸籍
・遺産分割協議書
・印鑑証明書

また、原本還付を行う際にも、一度は原本を送付する必要があります。
コピーだけを送付して原本を送付し忘れることのないよう、ご注意ください。
原本還付を受ける際は【綴じる書類はコピー(契印を押印)】、【それとは別に原本も送付】という点に注意してください。
「原本還付」を受けるために必要な処理は次の通りです。

1.「相続関係説明図」作成する

「相続関係説明図」を作成して提出すると「戸籍事項全部証明書」「改製原戸籍」
「除籍謄本等」を登記完了時に返却してもらえます。
「相続関係説明図」は自作するか、司法書士に依頼して作成してもらいます。

2.住民票、住民票の除票又は戸籍の附票、遺産分割協議書や印鑑証明書のコピーをとる

3.作成したコピー、相続関係説明図に必要な文言を記入した用紙を添付する

 

原本還付を受ける際には、下記のような用紙を最後に添付し、コピーした文書全てに「契印」を押印します。

※このとき契印を1枚でも忘れてしまうと「補正」となってしまい法務局から電話が
かかってきます。契印漏れに注意しましょう。

「相続登記申請書」の代理人は誰になるのか?

申請書を自作しない場合、通常は登記の専門家である司法書士が代理人となります。
その際は添付書類として「代理権限証書」(委任状)が必要となりますのでご注意ください。
司法書士は相続登記申請書の作成から登記申請完了後の受領まで、全て代理で行うことが出来ます。
申請書が複雑な場合や、他の処理などで手が回らない場合は司法書士に頼むという方法も有効です。

どれくらい戻ってくるのか?