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相続登記を自分でするメリット・デメリットとは?申請の流れも解説

相続が発生し、土地や建物を遺産として引き継ぐ場合、不動産の名義変更を行う必要があります。
この手続きを「相続登記」といい、基本的には司法書士に依頼して対応することになります。
しかし、実は自分でも相続登記を行うことが可能です。
この記事では、現役の司法書士が相続登記を自分でするメリット・デメリットや申請の流れを解説します。

相続の登記は司法書士等の専門家に頼まず、自分でやれば費用抑えられる

相続登記は絶対に司法書士などの専門家に依頼しなければならないというものではなく、自分で申請することもできます。
通常、司法書士に依頼した場合は報酬として5万円から10万円程度がかかります。
しかし、自分で相続登記を行えば、戸籍や住民票の発行手数料や郵送料などといった費用のみに抑えることが可能です。

一方で、相続登記は集めるべき資料や提出する書類が多岐に渡るため、手続きに時間がかかってしまうというデメリットがあります。
また、戸籍を読み解いたり税金の計算をしたり、平日日中に役所へ出向いたりと、手間と労力もかかってしまうのでそれなりの覚悟は必要になります。

相続登記に時間がかかる場合、不動産の売却のタイミングが遅れることになります。
また、不動産の価値を示す「固定資産評価証明書」という書類の提出が必要になるのですが、毎年3~4月に内容が切り替わるのでその期間をまたぐと取得し直さなければなりません。
自分で手続きを行う場合は、こういった点も考慮しておくようにしましょう。

専門家に頼むのと、自分でやるの、どう違う?

司法書士に相続登記を依頼すれば、報酬は発生するものの全てお任せで手続きを完了することができます。
戸籍の取得など煩わしい手続きが必要なく、優良な事務所であれば約1か月程度で速やかに登記を完了させてくれます。
なお、遺産分割協議の人数が多かったり、戸籍を取得する人数が多かったりと、手続きが増える場合は完了までの時間が延びる場合があります。

自分で相続登記を行う場合は費用を抑えることができますが、書類の作成などは全て自身で行わなければなりません。
手続きには専門用語が多く、役所に何度も問い合わせることになりますので、慣れていない人にとっては面倒くさいと感じられるでしょう。

自分で手続きするか専門家に頼むかどちらがおすすめ?

時間があり役所の手続きに抵抗感のない人は、自分で相続登記した方が費用を抑えられるのでメリットが大きいと言えます。
最近では戸籍などを郵送で取り寄せることができるため、離れた場所に住んでいる場合でも現地の役所に出向く必要はありません。
しかし、をかけたくないという場合や、疎遠な親族がいたり被相続人の名義が2世代以上前の先祖になっていたりした場合は、司法書士に依頼した方が簡単に手続きを済ませることができるでしょう。

ただし、司法書士に依頼する場合は事務所選びをしっかりと行うことをおすすめします。
相続登記に慣れていない事務所に依頼すると、完了までに時間がかかりストレスがかかってしまう可能性があります。
ホームページで相続登記について分かりやすく解説されている事務所なら、手続きに慣れている可能性が高いので事前にチェックしておきましょう。

また、古くからの法務事務所は報酬が高めに設定されている傾向にあります。
大々的に広告を打っている大手法務事務所は、報酬は安い傾向にありますが、顧客を大量に抱えているため処理スピードが遅い可能性があります。
相続登記は利害関係者との交渉が発生せず、基本的に書類上の手続きのみで完了するため、事務所による成果の質の差はありません。
信頼できる事務所であるか、報酬が明瞭であるかといった点を重視して選ぶとよいでしょう。

相続登記完了までの流れ

相続登記の手続きは、個人でやる場合も司法書士がやる場合も基本的に同じ内容になります。
ここからは、相続登記完了までの申請の流れを紹介していきます。

財産調査

まず、相続登記する土地や建物、預貯金や保険などのプラスの財産と、借り入れやローンなどのマイナスの財産を全て調査します。
財産調査に関しては司法書士に依頼する場合でも、自分自身で行う必要があります。

相続する不動産が明確な場合は問題ないですが、把握している他にも存在する可能性がある場合は、固定資産税の納税通知書に付いている「固定資産税課税明細書」を確認してください。
ここには課税対象者が所有する不動産が掲載されているため、全貌を把握することができます。
課税明細書がない場合は、役所にて不動産の「名寄帳」を請求すれば確認することが可能です。

預貯金や保険については通帳や保管してある書類を確認し、借り入れやローンといったマイナスの財産はCICなどの信用情報機関から情報を取り寄せましょう。
配偶者または2親等以内の血族であることが分かる戸籍謄本と、開示対象者が亡くなっている事実が分かる公的書類(戸籍謄本や除籍謄本など)があれば、亡くなった後でも開示請求することができます。

財産調査の結果は決まったフォーマットなどにまとめる必要はありませんが、メモなどに記載しておいた方が後々分かりやすくなるでしょう。
また、司法書士に依頼する場合もまとめたメモを提示すれば、スムーズに手続きを行うことができます。

必要書類あつめ

ここからは司法書士に依頼する場合、全て任せることができますが、自分でする場合は自身で必要書類を集める必要があります。
相続登記で最も時間と手間がかかるステップになるので、抜け漏れがないよう十分確認しておいてください。

書類名 有効期限 取得場所 取得費用
不動産登記事項証明書 最新のもの 法務局もしくはオンライン請求 オンライン請求で法務局窓口にて受け取る場合:手数料480円

オンライン請求で郵送にて受け取る場合:手数料500円

法務局窓口にて請求し受け取る場合:手数料600円

固定資産評価証明書 最新年度のもの 都税事務所(東京23区のみ)、市区町村役場 管轄によって異なる
亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本 なし 亡くなった人の本籍地の市区町村役場 戸籍謄本:1通450円
除籍謄本:1通750円
住民票除票 なし 亡くなった人の最後の住所地の市区町村役場 1通300円
相続人全員の戸籍謄本 被相続人の死亡日以降に発行されたもの 各相続人の本籍地の市区町村役場 1通450円
不動産相続人の住民票 被相続人の死亡日以降に発行されたもの 相続人の住所地の市区町村役場 1通300円
※遺産分割協議をした場合

遺産分割協議

不動産の相続人を誰にするのか決定します。
相続人全員で話し合い、誰が取得するのかを決める「遺産分割協議」を行うか、法定相続分の通りに相続人全員が相続登記するかを選択します。

登記申請書の作成

相続登記の登記申請書を作成します。
その内容は後ほど詳しく解説します。

最初の関門、必要書類集め

相続登記において最も時間と手間がかかるのが、必要書類集めです。
重要な書類に関して解説しますので、よく確認しておきましょう。

不動産登記事項証明書

不動産登記事項証明書は相続登記の申請書を作成し、相続不動産の内容を確認するために必要な書類です。
不動産が存在する管轄の法務局以外でも取得できるので、最寄りの法務局で手続きしましょう。
また、オンライン申請も可能です。
オンラインで申請し、法務局の窓口で書類を受け取るのが最も手数料を安く抑えられるので(480円)、費用を削減する場合はこの手法を選ぶことをおすすめします。
オンライン申請し郵送で受け取る場合は、オンラインバンクから支払うことになります。
窓口で受け取る場合は収入印紙で支払うことになるため、郵便局もしくは法務局内の印紙売り場で購入しましょう。

法務局窓口や法務局ホームページにある「登記事項証明書交付請求書」に、土地建物の所在と地番を記入し提出します。
本人確認書類や印鑑は不要です。

戸籍謄本

亡くなった人が生まれた時から現在までの戸籍謄本を全て集める必要があります。
これは、隠し子など把握できていない相続人が他にいないか調べるために行います。
本籍地が離れている場合、郵送で書類を送付してもらうことも可能です。
手数料は450円~700円程度となっているため、返信用封筒とともに多めにお金を入れておけば差額を返金してもらえます。

戸籍に関する法律は何度か改正されているため、同じ内容で複数通発行されることがあります。
その場合も通数分の手数料がかかってしまうため、いずれにせよ多めにお金を入れておくことをおすすめします。

本籍地が点々としている場合は、元々の本籍地を調べてその管轄の役所から取得しなければなりません。
役所に問い合わせるか、司法書士に依頼して対応しましょう。
本籍地が分からない場合は、住民票除票を戸籍付きで発行すれば把握することができます。
また、市区町村の合併により新しい役所が管轄になっている場合は、ネットで調べて正しいか役所に問い合わせると回答してもらえます。

戸籍謄本は被相続人だけでなく、全相続人の最新のものを取得する必要があります。
名義を引き継ぐ相続人は住民票も必要になります。
誰の名義にするかは本人たちで話し合い、税金で分からないことがあれば税理士に相談しましょう。

相続人は相続登記の登録免許税を算出するため、固定資産評価証明書または課税通知書を準備しなければなりません。
評価証明書は東京23区の場合都税事務所で発行でき、それ以外は市区町村の役所で発行することになります。
なお、登録免許税は「不動産の評価額×0.4%」の金額が課せられます。

誰の名義で登記するか

法定相続通りに名義登録するか、遺産分割協議を行い話し合いの上で不動産の名義人を決定するかを選択します。
遺産分割協議で決める場合は、話し合いの内容を記した「遺産分割協議書」と「印鑑証明」が追加で必要になります。

遺産分割協議書には特定のフォーマットはなく、手書きでもパソコンでも作成可能です。
ただし、相続人全員で話し合い同意を得なければ無効になります。
書面には被相続人と相続人の名前を記載し、相続する財産の内容を正確に記入します。
そして、協議を行った日付を記載し、相続人全員の署名と実印を記します。

印鑑証明はお住いの市区町村役場で発行でき、発行手数料は1通あたり300円になります。

登記申請書の作成

必要書類を集めた後は、相続登記申請書を作成します。
ここからは、申請書の作成方法について紹介します。

申請書の作成方法

相続登記申請書には、決まったフォーマットがありません。
そのため、インターネットで法務局のホームページなどからひな形を入手し作成していきます。

申請書には以下の情報を記入します。
法務局のフォーマットを参考に、書面を作成してください。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001207252.pdf

・申請日や亡くなった日等の日付
・住所氏名や持ち分
・土地建物の住所地を管轄する法務局名
・課税価格と登録免許税
・土地建物の表示

なお、法務局のフォーマットには「登記識別情報の通知を希望しません」というチェック欄が設けられています。
ここにチェックを入れなければ、不動産を売る際に再発行しなければなりません。
その際、司法書士へ5万円から10万円程度の報酬を支払って依頼することになるため、必ずチェックを入れるようにしましょう。

また、チェックを入れるだけでは役所へ直接取りに行かなければならなくなります。
遠方の場合は交通費や時間がかかってしまうため、郵送を希望する場合は返信用封筒を入れた上で、「相続人の住所地に郵送してください」と記載しましょう。

住所氏名や持ち分に関しては、「〇〇 2分の1」「×× 2分の1」といったように、相続人の氏名と持ち分の比率を記入します。
マンションの場合は敷地権ありとなしで表記が異なるので、法務局のホームページなどを参考に記入しましょう。
登録免許税は、固定資産税評価額の1000分の4が課されることになります。

そして、課税分の収入印紙を申請書の最後に貼り付けます。
申請書が複数枚に渡る場合は、契印(割印)が必要になるので忘れないようにしてください。

添付書類

作成した申請書には、収集した以下の必要書類を添えて提出する必要があります。

・戸籍謄本(被相続人、相続人全て)
・住民票(不動産を相続する人のみ)
・固定資産評価証明書
・遺産分割協議書
・印鑑証明書

提出先は、登記する不動産が存在する土地を管轄する法務局になります。
この管轄を間違えて提出すると、書類が戻ってこない可能性がありますので、絶対に間違わないようにしてください。

また、住民票と印鑑証明書の原本を還付してほしい場合は、コピーをとり「原本と相違ない」と記載し、捺印したものを追加で添付してください。
コピーは白黒で問題ありません。
さらに、「原本還付」と記載し、氏名と印鑑を記入した紙を添えると法務局がハンコを押して手配してくれるのでおすすめです。

亡くなった日付、被相続人と相続人の氏名、生年月日、取り分、住所を記載した「相続関係説明図」を添付すると、戸籍謄本はコピー不要で還付されます。
相続関係説明図にも決まったフォーマットがないので、法務局のホームページなどを参考に作成しましょう。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

書類ができたら登記申請

書類が全て準備できたら登記申請を行います。
登記する不動産が存在する土地を管轄する法務局の窓口へ持ち込むか、郵送で申請することになります。
窓口へ出向くのは交通費や時間がかかってしまいますが、場合によっては担当者が内容をチェックしてくれることもあります。

登記申請から完了までは平均1~2週間程度かかりますが、早ければ2日程度で完了することもあるようです。
繁忙期の場合は多少時間がかかる傾向にあります。

作成が難しいと感じたら

相続登記は以上のような書類の準備と申請書の作成が必要になります。
しかし、専門用語や慣れない対応が多く難しいと感じる方も多いでしょう。
そのような場合は、法務局で行っている無料の電話相談や面談相談を活用することをおすすめします。
事前に予約して書類の状況や内容をチェックしてもらうことができます。

司法書士会でも無料相談会を開催しているので、最寄りで実施されているか調べてみてください。
それでも難しいという場合は、司法書士の法務事務所に依頼するとよいでしょう。
報酬は発生するものの煩わしい手続きを全て代行してもらえるので、時間と手間をかけずに相続登記を行うことができます。

どれくらい戻ってくるのか?