メニュー

相続登記に関係する「期限」の有無について

相続登記に期限はあるのか?

相続登記申請に限りませんが、様々な申請を行う場合、いつまでに完了させなければならないのか、その期限の有無について気になっている方は多いと思います。

申請が期限内に完了しないと不利益を被ったり、場合によっては過料や罰金を取られるというケースも存在します。
そのため、どんな申請であったとしても、いつまでに何を終わらせておくべきかを確認することは重要です。

では、相続登記に関して、期限はあるのでしょうか?
結論から言うと、現行法において相続登記の申請を行うにあたり、期限は存在していません。
ですので、落ち着いた段階で登記申請を行うということが可能です。

今後期限が設けられる予定も…

しかし、2020年に民法及び不動産登記法が改正されることになっています。
その中で、現在増え続けて社会問題にもなっている所有者不明土地をこれ以上拡大させないことを目的として相続登記の義務化が行われることになっています。

その土地を誰が所有し、死亡後には誰が所有権を相続したのか、わからないままになってしまっているために所有者不明となり、事故の危険性や経済損失を産んでしまいます。
そのため、相続登記を義務化して所有者不明土地の拡大を食い止めようとしているのです。

義務化されると、一定期間内に相続登記をしなければ罰金が科される可能性があります。
※罰金とは:1万円以上の刑事処分のこと。処分としては比較的重く、刑法にも定められた刑罰、財産刑の一種。前科もつきます。

刑事罰として扱われる可能性が浮上しているため、施行された後は相続登記を必ず行わなければなりません。
では、実際に義務化されるのはいつになるのでしょうか?
2020年の民法及び不動産登記法改正から施行までにしばらくの周知期間が設けられることが予想されるため、実際に期限ができるのは数年後のことになると思われます。
しかし、義務化されたことを知らなかった、とならないように最新情報は注意深く集める必要があるでしょう。

2019年時点では相続登記に期限はない

もっとも、現時点では義務化は行われておらず、相続登記の申請に期限は存在していません。
今後のことを考えて、できるだけ早めに相続登記を行う必要はありますが、最優先にしなければならないということはありません。

ただ、相続登記の申請を行うにあたり、さまざまな書類を添付する必要があります。
この書類それぞれについて、書類が有効となる期限が発生するものも存在しています。
相続登記の期限はなくとも、添付書類の期限を間違えてしまった場合、補正となり余計な手間や時間がかかることとなります。
そういった問題を避けるため、今回は、そのそれぞれの書類について、有効期限の有無や注意すべき点を確認していきましょう。

添付書類の有効期限

結論から言ってしまうと、添付書類においてもほとんどの場合期限は定められていません。
しかし、一部の書類において、有効期限に注意すべき点がありますので、まずは有効期限の有無について下記にまとめます。

有効期限のないもの

・住民票
・住民票の除票(戸籍の附票)
・遺産分割協議書
・印鑑証明書
・相続放棄申述受理証明書 ※詳細は後述します

有効期限に注意の必要なもの

・戸籍
 ※被相続人が死亡した日付よりもあとのものでなければ無効

・固定資産税評価証明書
 ※相続登記の申請日と同じ年度のものでなければ無効

有効期限に注意の必要なものは少ないため、特に意識を向ける必要があります。
それでは、これらそれぞれの書類について、さらに詳しく注意点を確認していきましょう。

それぞれの書類の期限について

有効期限のない書類

住民票

取得後、一定期間内のものでなければならないなど、定められた期限はありません。
ただし、当然ではありますが、住所移転等により、相続登記申請書に記載した相続人の住所と
添付した住民票の住所が異なっている場合には、新たに住民票を取り直す必要があります。

住民票の除票(戸籍の附票)

こちらも同様に定められた期限はありません。

※なぜ住民票の除票又は戸籍の附票の提出が必要になるのか?
そもそも、住民票の除票または戸籍の附票が必要となるのは、戸籍の記載方法に原因があります。
登記簿には、所有者の住所が記載されています。
一方、戸籍には所有者の住所の記載がなく、本籍地のみが記載されております。

よって、登記簿上の住所と本籍地が同一であれば、同一人物であることが書類上わかりますが、
お亡くなりになられた方が引っ越しをして、登記簿上の住所と異なっている場合はどうでしょう?

わかりませんよね。そこで、戸籍と登記簿に記載されている人物が同一人物であるということを
証明するために、住民票の除票または戸籍の附票の提出が必要となるのです。

遺産分割協議書

遺産分割協議書は、相続登記申請時に場合によって必要となってくる書類です。
これについて、民法上、期限が存在しておりません。
遺産をどのように分割するかの協議を行い、決定した時点で作成すれば問題ありません。
ただし、相続登記の義務化による民法及び不動産登記法改正に伴い、相続登記申請自体の期間制限が設けられる可能性があります。
その場合、被相続人の死亡後、遺産分割協議を行うにあたっても事実上期限が定められることになります。
相続登記申請に添付しなければならないため、その提出に間に合うように作成しなければならないためです。
そのため、遺産分割協議書の有効期限については、相続登記の義務化同様、今後の情報に注意する必要があります。

印鑑証明書

印鑑証明書については、期限は定められていません。

他の申請に使用したものを再度利用する場合やしばらく前に取得したものなどでも利用可能です。
その場合、内容に変更がないかどうかだけ確認しておきましょう。

遺産分割協議書に実印を押印する趣旨は「文書成立真正担保のため」ですので、
作成後3か月以内のものを添付しなければいけないといった期限はないのです。

相続放棄申述受理証明書

相続放棄申述受理証明書については、期限は定められていません。
いつ取得したものであったとしても、使用することが可能です。

※相続放棄申述受理証明書とは?
そもそも、相続放棄申述受理証明書とはなんでしょうか。
相続する遺産が相続人にとって不利益になるものであった場合、相続放棄の申述を行うことができます。その場合は全ての遺産を放棄することになってしまいますが、不利益な遺産を相続することを避けることが出来ます。

遺産の相続放棄を行う場合は、家庭裁判所に申述を行います。それが受理されると発行される証明書が「相続放棄申述受理証明書」です。
なお、こちらを提出する場合、重要な注意事項があります。
家庭裁判所から最初に送られてくるのは「相続放棄申述受理通知書」となります。
税務署や債権者、市役所など、一部の機関においてはこの「通知書」のコピーを提出すれば問題ありません。
しかし、相続登記の申請においては、「通知書」ではなく「証明書」を添付する必要があります。
「相続放棄申述受理証明書」は自動的に発行されるものではないため、管轄の家庭裁判所に交付申請を行い、取得しなければなりません。
そのため、追加の手続きが必要となり、時間もかかってしまいます。また似たような名前であるため勘違いして添付してしまう可能性もあるため、気をつけなければなりません。
「通知書」と「証明書」の違いについては十分に注意しましょう。

有効期限に注意の必要な書類

戸籍

戸籍・除籍・改製原戸籍謄本又は全部事項証明書等、戸籍に関わる書類に関しては、基本的には期限は存在しません。
ただし、被相続人が死亡した日以後の証明日のものに限ります。
被相続人の死亡後、まずは死亡届を提出すると戸籍に変動が生じます。
このように戸籍に変動が生じる場合は、最新の戸籍を取得するように注意しましょう。

固定資産税評価証明書

相続する土地に関して、固定資産税評価証明書を添付する必要があります。
この書類に関しては、はっきりとした期限が定められています。
というのも、固定資産税評価証明書は、年度毎に改定されているためです。
相続登記申請を行う場合、該当する年度の証明書を添付しなければなりません。
「年度」になるため、4月1日はじまり、翌年3月31日終わりという考え方になります。
極端な話ですが、3月31日に固定資産税評価証明書を取得し、4月1日に相続登記申請を行った場合、ちょうど年度をまたいだことになってしまいます。

その場合、3月31日に取得した固定資産税評価証明書は無効となり、補正の連絡がくることになってしまうのです。
また、取得してからしばらく経って年度が変わってしまったということも考えられます。
固定資産税の評価額に関しては、改定がおこなわれない場合もあります。
その場合でも、年度が異なると受け取ってもらえないため、評価額ではなく証明書の年度に注意するようにしましょう。

相続登記以外の期限について

被相続人の死亡によって行う申請は、相続登記に限りません。
その種類はかなり多く存在していますが、ここでは相続登記以外に「相続税申告・納税」と「金融機関等の名義変更」について、少しだけ触れていきます。

相続税申告・納税

相続を行った場合、相続税がかかることがあります。この項目は不動産の相続にも関わってくるため、簡単ではありますが期限について触れていきます。

現行法において、相続登記には期限はありません。
しかし、相続税申告・納税には現行法において既に期限が定められています。

相続開始を知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10ヶ月以内の申告・納税が必要となります。
案件にもよりますが、遺産分割や相続登記もこの10ヶ月の期間内にした方がいい場合もあります。
これに関してはさまざまな条件によって異なるため、実際の遺産分割の際に改めて確認をした方がいいでしょう。

もっとも、相続税には基礎控除や配偶者控除など、控除が行われることによって納税額がゼロ円になるケースの方が多く存在しています。
相続した金額から基礎控除を引き算した段階で納税額がゼロ円になった場合、相続税の申請は必要ありません。
しかし、相続した金額から基礎控除を引き算し、その残額から配偶者控除等を引き算して結果的に納税額がゼロ円になった、という場合においては相続税の申請は必要はとなります。
納税額がゼロ円になった場合でも、十分に注意するようにしましょう。

金融機関等の名義変更

金融機関の名義変更や、自動車・軽自動車の名義変更・住所変更に関しては、相続登記と同じ「住民票」「戸籍」「印鑑証明書」などの書類を提出する必要があります。
同じ書類を提出することになりますが、相続登記の場合とは異なり、これらの書類に一定の期限が設けられている場合があります。

たとえば戸籍に関しては、金融機関によって1年以内等の発行期限が要求される場合があります。これは全ての金融機関で実施されているというわけではないため、事前に口座のある金融機関に確認した方がよいでしょう。
また、印鑑証明書は発行後3ヶ月や6ヶ月といった期間制限があります。これも提出先によって期間が異なるため、事前に確認する必要があります。
同じ書類を使用していても、有効期限の有無が定められていることがあるため、充分に注意するようにしましょう。

おわりに

被相続人の死亡後、さまざまな準備に追われてなかなか遺産の件まで手が回らないかもしれません。
しかし、被相続人の死亡直後は法定相続人が集合する機会でもあります。
遺産分割協議は、必ずしも全員が対面で行う必要はありません。例えば、遺産分割協議書をある代表者
が作成して持ち回りで相続人全員の承認の印鑑をもらう方法もありますし、遺産分割協議証明書を
作成して代表者が全国に散在する相続人全員に郵送で送付して個別に印鑑をもらうやり方もあります。

いずれの方法にせよ、遺産分割協議に参加する相続人全員が内容をしっかりと把握しておく必要があります。

どれくらい戻ってくるのか?