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奨学金が返せず債務整理!?この情報だけは事前に押さえて!


奨学金とは、経済的な理由で就学が困難な家庭に対して、日本学生支援機構や地方公共団体などの組織が、入学金や授業料など、就学に必要な資金を融資する制度のことです。

さまざまな種類が存在しており、無利子で借り入れることのできるもの、在学中は利子が発生せず卒業後に数パーセントの利子が発生しはじめる有利子のもの、一部給付型のもの、条件付きで返済不要のものなど、それぞれの成績や家計の状況に応じて選択が可能です。

これらすべての種類に加え、大学が独自に設けている奨学金なども含めると、大学生のうち2人に1人が利用していると言われています。

奨学金、返済できない人が増えている?

この奨学金制度には深刻な問題があります。

なんと「返したくても返せない」という若者が急増し、自己破産にまで追い込まれるケースが1万件にも及んでいるというのです。

非正規雇用が増えたことや、正社員として就職しても年収200万円程度しか稼げない、いわゆる「ワーキングプア」に該当する就業者が増えたことがその原因だと言われています。

では、奨学金を滞納してしまうと、果たしてどのようなことが起こるのでしょうか?
まずはその流れと、万一債務整理を行わなければならなくなった場合や、債務整理の前にまずやってほしいことなどについて順を追って確認してみましょう。

奨学金、滞納すると…

奨学金を返済できなかったとしても、即座に法的措置をとられるということはありません。
たまたま口座に入金しておくのを忘れてしまったために引き落としがされなかった、などのうっかりミスが発生する可能性がゼロではないからです。

しかし、滞納が許されるのは2ヶ月まで。
3ヶ月以上になると、本格的に督促が始まります。

3ヶ月以上滞納した場合

3ヶ月以上滞納してしまうと、サービサーからの請求がくることがあります。

サービサーとは、債権回収会社のことです。
金融機関から委託を受け、または譲り受け、特定金銭債権の回収を行う企業で、法務大臣の許可を得た民間の債権回収専門業者です。

日本では弁護士法において、弁護士や弁護士法人以外のものが債権回収の業務を行うことは禁じられてきました。
しかし、不良債権の処理等の促進を目的とし、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が施行され、弁護士法の特例として、民間企業が債権回収業務を行うことができるようになったのです。

このサービサーが奨学金の貸し付けを行った機関に代わって請求を行います。

9ヶ月以上滞納した場合

サービサーからの請求があってもなお支払いを行うことができず滞納し続けてしまうと、9ヶ月以上で訴訟を起こされる可能性があります。
この「9ヶ月」というのはあくまでも目安であり、もっと短期間で訴訟までいってしまうケースもあります。
いずれにしても、長期間の滞納の場合は訴訟に発展するケースがほとんどです。

奨学金の保証人は?

奨学金を借りる場合、必ず保証人か機関保証がついています。

保証人になるのは親か親族という場合がほとんどです。

また「機関保証」というのは、日本学生支援機構の奨学金を借りる場合に保証機関が連帯保証する制度のことです。
一定の保証料を支払う必要がありますが、支払いができなくなってしまった場合にさまざまな支援を受けることができます。

奨学金が支払えなくなった場合、機関保証の際には保証機関が学生に代わり返済を行い、学生は保証機関に代理で返済してもらった金額を返済していくという形になります。
そのため、債務整理を行わなければならなくなった場合にも、行うことができます。
そのため、現在ではこの機関保証を使用する割合が増加傾向にあるようです。

しかし、保証人を立てている場合には、債務整理を行うと保証人に債権の取り立てが行くことになり、結果として保証人も自己破産に追いやられるというケースも少なくありません。

では、債務整理には果たしてどのような方法があるのでしょうか?
その内容やリスクについてご説明します。

債務整理の種類は?

一言で「債務整理」といっても、その方法は数種類あります。

最も有名なのは「自己破産」ですが、それ以外にも「任意整理」「個人再生」という手段も存在しています。

これらそれぞれについて、もう少し丁寧に見ていきましょう。

任意整理について

任意整理とは、利息をカットして元金のみを3~5年を基本に支払う手続のことをいいます。
ただし、任意整理についてはさまざまな条件も存在しているため、必ずしも認めてくれるとは限りません。

×奨学金の任意整理はオススメできない
奨学金に関しての債務整理においては、任意整理はオススメできません。

というのも、奨学金はそもそも利息が0~1.3%程度であり、長期分割のため利息カットのメリットがあまりありません。
また、任意整理では毎月の支払いを確実に行えるようにと分割回数を増やすということもあります。
その際、場合によっては支払金額が増えてしまうということもあるのです。

そのため、任意整理にはあまりメリットがなく、奨学金に関しては任意整理を行わない方がいいでしょう。

しかし、奨学金だけでなく、他の借り入れも行っているケースもあると思います。

その場合、奨学金だけを任意整理の対象から外し、それ以外の債権についてのみ任意整理を行うという方法もあります。

ただし「きちんと支払いをすることができる」ということが前提になります。

これが難しい場合は、個人再生か自己破産を選択するしかありません。

また、他の借り入れがあるうえ奨学金に保証人がいる場合には、任意整理をしても保証人に請求がいくことになってしまいます。
そのため、保証人への請求を避けるためにも奨学金だけは手続から外す方がよいでしょう。

個人再生について

個人再生とは、借金の金額を減額する再生計画を立て、分割で返済する方法のことを指します。

この場合はすべての債権が対象となり、奨学金だけを外すということはできません。

借金額が減額されるため支払いがしやすくなる反面、保証人に請求がいくことになってしまった場合には、減額されていない元の金額が対象となるため、場合によっては保証人の生活を圧迫するということもあり得ます。

自己破産について

自己破産とは、裁判所を通して自己が所有する財産を清算し、借金をなくす手続です。
この場合、全ての債権が対象になり、奨学金だけを外すということはできません。

その場合、保証人を立てていると保証人に請求がいくことになります。
その金額には債務整理の効果は及ばず、通常の金額を請求されることになります。

債務整理をする前に「猶予制度」の利用を!

さて、ここまで債務整理について説明をしてきましたが、いずれの方法もリスクの方が圧倒的に多くなってしまいます。

自分だけでなく、保証人の生活まで脅かしてしまうということになれば、できることならば避けたいと思うのが自然でしょう。

また、経済的な事情で支払いができないというケースももちろんですが、不慮の事故や病気などにより支払いができなくなってしまうというケースも少なからずあります。

そういった場合には、債務整理をする前に使用することができる「猶予制度」というものがあります。

最初から債務整理を行うのではなく、早い段階でこの猶予制度を検討し、債務整理を行わずに済むように調整をしましょう。

では、その猶予制度とはどんなものなのか?
その制度について詳しくみていきましょう。

猶予制度とはどんなもの?

猶予制度は大きく分けて2種類あります。

ひとつは「返済期限猶予制度」、もうひとつは「減額返還申請」です。

それぞれどんなものなのか、確認していきましょう。

返済期限猶予制度とは?

返済期限猶予制度とは、返済を一定期間猶予してもらえるという制度です。

病気などの場合や、経済的に厳しい場合ということが条件にはなりますが、申請し、受理されると1回につき最長1年、通算10年間まで返済を猶予してもらうことが可能になります。

その間、1年ごとに申し出を行うことが必要になります。

また、過去の滞納分に遡って申請することも可能です。

猶予期間中の利息は発生しないため、返済金額が増えるということはありません。

また「通算」で10年間の使用が可能なので、1年間休み、その次の1年間で支払い、また1年間休み……という形で少しずつ返還していくこともできます。

合計の返還金額が減るわけではないため、予定よりも長期にわたって返済していくということになるだけではありますが、それでも経済的に苦しい時期を減らすことができるというのは生活を安定させることに繋がるでしょう。

減額返還申請

月々の返還額を1/3~1/2に減額してもらい、分割回数を増やすという制度です。
一度に返還する金額が減るだけで、返還の総額は減らないという点には注意が必要です。

この制度は通算で15年間利用することができ、1年ごとの申し出が必要となります。

病気などの場合や経済的に厳しい場合という条件がありますが、減額し分割回数が増えたとしても利息の支払い分は増えません。
そのため、最終的な返還総額は変わりません。

こちらも「通算」で15年間の利用が可能なので、返せなくなったときに利用して無理のない返還額にし、長期的に完済することを目指すことができます。

ただし、過去に滞納分がある場合は、滞納解消後でないと利用することができません。

たとえば1ヶ月分の滞納がある状態では申請しても却下されてしまうため、まずは滞納分をすべて返済してから、翌月からの返還額を減額してもらうという利用方法となります。

この2つの猶予制度は、並行して使用することはできませんが、どちらか片方しか使えないということはありません。

一定期間は返済期限猶予制度を利用して支払いを休み、復帰後には減額返還申請を行って少しずつ返還する、ということができるため、うまく利用して債務整理の必要がないように調整していきましょう。

ただし、いずれも返還総額が減額されるというわけではありません。

休んだ期間の分、あるいは分割回数を増やした分、返済し続ける期間は延びていくことになります。

そのため、可能な時期はできるだけ頑張って満額で返済し、どうしても苦しくなった時期にこの制度を利用するという方法を取る方が、今後の生活を圧迫しないという意味でもよいでしょう。

債務整理をしてしまった…その後の奨学金の借り入れはできる?

消費者金融、クレジット会社、金融機関などの会社は信用情報機関の会員となり、消費者がクレジットカードやローンなどを利用する際に登録された情報から、消費者の信用力を判断しています。
これにより、消費者への過剰貸し付けを未然に防ぐことができるようになっているのです。

きちんと返済しているかということや現在の貸し付け金額もそうですが、債務整理の状況についてもこの信用情報機関に登録されてしまい、その人物には「信用力がない」とされ、一定期間貸し付けが行われないことがあります。

いわゆる「ブラックリスト」というのは、この信用情報機関に登録されたマイナスの信用情報のことを指しています。

ブラックリストの影響は?

債務整理をしてブラックリストに載っている間は奨学金の審査には通りません。
そのため、債務整理の経験があり奨学金を利用したいという場合には、いつ債務整理を行ったかということが非常に大切になります。

保証人にはなれる?

債務整理をし、ブラックリストに載っている間は保証人になることもできません。
これは、保証人も貸し付けの際の審査対象になるためです。
自分自身は債務整理の経験がなかったとしても、保証人が債務整理を行っている場合にはやはり奨学金の審査が通らないため注意が必要です。

ブラックリストの影響はいつまで続く?

ブラックリストに債務整理の情報が載る期間は、その方法によって異なります。

任意整理の場合=完済から5年間
個人再生・自己破産の場合=10年間
それぞれ上記の期間を経過すると削除され、それ以降はブラックリストの影響を受けることはなくなります。

おわりに

奨学金が返済できない問題は、学費の高騰や所得の減少に伴って急激に増え始めています。
それによる債務整理も増えてしまっていますが、猶予制度を利用することで債務整理を回避することが可能です。

利用できる制度は全て利用し、最悪の事態を避けられるような方法を探しましょう。

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