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任意整理の期間は延ばせる?延長条件と注意点を解説

「任意整理をしたは良いが、収入が落ちて返済が続けられなくなった」、そんな時に検討したいのが「返済期間の延長」です。
しかし一度任意整理をし、返済総額を減らしてもらった状態で、さらに返済期間の延長までできるのか、心配になる人は多いでしょう。
ここではそういった任意整理後の返済期間延長について解説するとともに、注意点などについても述べていきます。


任意整理の期間は?

そもそも任意整理にはどのくらいの時間がかかり、さらにどのくらいをかけて、借金を返済していくことになるのでしょうか。
ここでは任意整理を行い債権者と和解するまでにかかる期間と、和解が終わってから債務の完済までにかかる期間について解説します。

和解するまで

任意整理は、「弁護士や司法書士を通して債権者と交渉することで、借金の返し方を債務者にとって返済しやすいかたちに整理する手続き」です。
任意整理を行う際、債権者と債務者の間に立つのは弁護士や司法書士のみです。
裁判所などを間に置かない「直接交渉」であるため、和解までの期間は比較的短めとなります(債権者との間に折り合いがつけば、裁判所の判決を待つ必要がないため)。

任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、弁護士・司法書士は手続きに伴う書類の作成や、債権者との交渉を行います。
それらの作業にかかるのが短くて3か月程度。
実際、債権者との最終合意が得られ、承諾書というかたちになるまではそれ以上の時間がかかるため、任意整理で和解までにかかる最終的な期間は、3か月~6か月程度を見ておくと良いでしょう。

とはいえその期間、債務者がする事はそれほど多くありません。
お世話になる弁護士・司法書士との面談が1~2回と、面談時に必要書類の作成があるくらいで、あとは弁護士・司法書士が手続きを代行してくれます。
時折、手続きの進捗などについて連絡があるでしょうが、基本的には弁護士・司法書士に任せておくだけで大丈夫です。

返済するまで

任意整理で和解が完了すると、得られた最終合意、承諾書の内容に沿って、借金の返済を行っていくこととなります。

任意整理は原則的に、3年以内で借金を完済できる場合のみ行われる債務整理の方法です。
そのため任意整理後の返済期間は3年を目安に見るのが基本ですが、債務者の収入や生活の状況によっては5年程度、場合によってはそれ以上の期間に延長できる場合もあります。
もちろんそれは、すべてのケースに適用されるわけではないので注意が必要ですが、実際のところ、任意整理後の返済期間は3年~5年程度になる場合がほとんどです。

ブラックリストの登録期間

任意整理を行うと、いわゆる「ブラックリスト」に登録されることとなります。
任意整理を行うということは、お金を借りる時に契約した元々の利息や期間で返済することを放棄したということであり、「信用できない人」とみなされてしまうのです。

一旦ブラックリスト状態になってしまうと借金やカードローンの審査に通らなくなり、お金を借りるという行為自体できなくなります。
日常生活に大きな制限がかかってしまうため、任意整理を行う際は、そのメリットとデメリットをよく考えてから行う事が大切です。

ブラックリスト状態は一定期間を経ることで解除され、その期間はブラックリストになった原因によって変わります(5年~10年)。
任意整理を行ったことによるブラックリスト状態は一般的に「5年」となっており、登録期間としては比較的短い部類に入ります。

任意整理の期間を延長することはできるのか?

先に述べたように任意整理後の借金返済期間は、原則として「3年」です。
そのため普通は、この期間を基準にして借金返済計画を立てていく必要があります。
しかし場合によっては予定外の事態が発生し、返済計画が狂うことがあります。
そういった場合は、債権者と再度交渉することで、任意整理の返済期間を延長してもらえることがあります。

任意整理の期間延長交渉は、任意整理の申し込み時と同じく、弁護士・司法書士の仲介によって行われます。
延長できる期間については、法令などで特に定められておらず、債務者の了解さえ得られれば、何年でも延長可能です。

任意整理の期間を延長できるための条件

任意整理後、返済期間を延長してもらうことは、交渉次第で「可能」ですが、しかしもちろん、何の条件もなく延長してもらえるわけではありません。
ここでは、どのような場合だと期間を延長してもらえる可能性が高くなるのか、紹介します。

返済実績を作る

返済期間延長の交渉をする際、何より大切となるのが「これまでの返済実績」です。
返済期間の延長を検討する際、債権者がほしいのは、債務者が最終的に借金を全額返済してくれるという保証です。
もし、これまでにきちんとした返済実績があるなら、それは将来にわたって返済される可能性も高いということであり、交渉の手助けとなるでしょう。
具体的には任意整理を開始してから1年~2年程度、滞りない返済が続けられていれば、交渉が成功する可能性は高いといえます。

逆に、返済を始めた当初から延滞や滞納を繰り返した経験があったり、交渉を始めたのが、任意整理の返済が始まってからまだ間もない時期だったりすると、債権者と債務者の間に信頼が成り立たないため、交渉が失敗する可能性は高くなります。

収入を安定させる

もう一つ、返済期間延長の交渉をする際に大切なのが「安定した収入がある」ということです。
ここでいう「安定した収入」は、けして高い水準で安定している必要はありません。

債権者が一番恐れるのは、貸したお金の元本分すら返って来ないことです。
仮に無理矢理返済を迫った挙句、自己破産などされてしまっては、債権者側としては元本の回収もままならず、大きな損失を負ってしまいます。
たとえ低額でも安定した収入があるということは、継続して返済を続けられるということ。
そのため、債務者が最終的に全額返済できそうならば、債権者も返済期間の延長については、比較的融通を利かせてくれる傾向にあるのです。
またそうした背景があるため、「離職が原因で収入が減った」ことを理由にしての返済期間延長の申し出は、却下される可能性が非常に高くなります。

交渉力の強い弁護士に依頼する

任意整理の返済期間延長が認められるかどうかは、結局のところ、債権者との交渉が成立するかどうかによります。
そのため交渉力の強い弁護士・司法書士に依頼することは、任意整理にまつわるすべての交渉をする上での大前提といえます。

任意整理の返済期間延長を依頼する場合は、同じ案件を多く扱った経験のある弁護士・司法書士に依頼するのが鉄則です。
特に借金問題を専門にしている弁護士は、期間延長に関する交渉力も高い場合が多く、おすすめです。

期限までに返済できない場合はどうなる?

任意整理後、返済期限までに最終合意で決められた額を返済できなかった場合は、特別な対応が必要となるケースがあります。
ここではそういった「特別な対応」について解説していきます。

滞納できるのは1ヶ月まで

任意整理後、最終合意で決められた内容に従い、借金の返済を行っていくこととなりますが、その際、返済の滞納が認められるのは1ヶ月までとなります。
これは任意整理をする際、和解契約に必ず含まれるルールです。
これを守らず2ヶ月分以上、返済の滞納をしてしまうと、債務者が持つ「期限の利益(※)」が喪失することとなります。
期限の利益が喪失すると債務者は、借金について、一括支払いしなければならない義務を負うこととなります。
それを防ぐためにも、返済の滞納は、必ず1ヶ月以内で解決する事が重要です。

誤って返済の滞納をしてしまった場合の対応ですが、1ヶ月分の滞納については、次月にまとめて2ヶ月分支払うことで、問題にはなりません。
しかし2ヶ月連続で滞納してしまった場合は、自動的に一括支払いに切り替わってしまうため、注意が必要です。

(※)「期限の利益」とは、民法136条1項に定められている、債務者が受けられる権利のことを指します。
債務者は「期限の利益」によって、支払期日が来るまでは、債権者から支払い請求を受けない権利をもっています。

滞納が続いたら再和解を行う

どうしても返済する事ができず、滞納が続いてしまった場合は、債権者から、借金の一括支払い請求を受けることとなってしまいます。
通常、そうなった時点で借金の一括支払いができる可能性は非常に低く、債務者は何らかの対応をしなくてはなりません。
対応として、まず最初に検討されるのが「再和解」です。

再和解は、最初の任意整理時と同じく、弁護士や司法書士の仲介のもと行うのが一般的です。
再和解では債権者と債務者の間で、一括支払い請求があった借金を、どういうかたちで支払っていくのか(再度任意整理を行うのか、改めて分割支払いの契約を結ぶのかなど)が話し合われます。
再和解は、一度信頼が失われた状況での話し合いとなるので、一般的には、初回より不利な内容で契約を結びなおすこととなります。
不利な内容の例としては、月々の支払額が増え完済までの期間を短縮されたり、1ヶ月あった滞納猶予がなくなったりすることなどが挙げられます。

再和解しても返済が難しい場合は「追加介入」

仮に再和解が成功したとしても、再び月々の返済が滞るようでは意味がありません。
そうした場合は、弁護士・司法書士が任意整理を行う範囲(債権者)を増やし、債務者の月々の収支がプラスになるよう「追加介入」を行うこともあります。

ただ、こうした方法がとれるのは、初回の介入時に任意整理を行っていない債権者があった場合のみです。
全ての人が追加介入を受けられるわけではないので、その点、注意が必要です。

どうしても返済できなければ「自己破産」か「個人再生」

再和解や追加介入を行っても借金返済の目途が立たない場合、「個人再生」や「自己破産」といった手段が必要となることもあります。

まず「個人再生」は、裁判所に申し立てを行うことで、借金の総額そのものを元々の5分の1程度にまで減額する手続きです。
個人再生を行うことで、毎月の支払いの大幅な減額が見込めますが、前提条件として借金の総額が5,000万円以下であること、ある程度の安定収入があることが求められます。

次に「自己破産」ですが、これを行うとすべての借金返済義務が免除となる代わりに、不動産・動産といった「もの」、金銭の請求権といった「債権」、著作権などから得られる「無形の権利」など、ありとあらゆる「財産」を処分する必要が出てきます。
自己破産は、基本的に債権者の同意なく行うことが可能なため、任意整理の失敗で債務者からの信頼を著しく失っている場合などに有効な手段です。

期間を延長するための交渉には追加費用が掛かるので注意

任意整理中の、返済期間の延長交渉ですが、最初に任意整理を始める時と一緒で、改めて追加費用がかかります。
返済期間の延長交渉は、実質的に、改めて任意整理しなおすのと同じなので、費用の目安としては、任意整理を始めて行った時と同程度を考えておくと良いでしょう。

現実的な返済計画を立てよう

任意整理後、返済期間の延長は交渉次第で「可能」となっていますが、返済が辛いからといって簡単に行うべきものではありません。
場合によっては返済期間を延長する意味自体なかったり、他の手段を講じた方が良い場合もあるでしょう。
どうしても検討したい場合は、収入の安定化や、返済見込みの判断など、様々な観点から現実的な返済計画を立てた上で、慎重に行う必要があります。

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