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銀行系カードローンの債務整理にリスクあり?注意すべきポイント

テレビCMなどで銀行がリリースしているカードローンの存在を認知している人も多いでしょう。
銀行系のカードローンは堅いイメージから消費者金融よりも安心感があり、債務整理についても容易に進められると考えてしまいがちです。
しかし、銀行系のカードローンには他のカードローンには無い注意点が存在します。
今回は銀行系カードローンの債務整理について見ていきましょう。


銀行系カードローンと消費者金融系カードローンの違い

カードローンには大きく分けて「消費者金融系」と「銀行系」の2種類があり、両者を比較してみると銀行系カードローンに対する理解を深める事が出来るでしょう。
銀行系カードローンの特徴は、債務整理における注意点や特徴と深く関わり合う部分も多いです。
ここではまず銀行系・消費者金融系それぞれの特徴を確認しておきましょう。

銀行系カードローン

銀行系カードローンの特徴には4つの大きなポイントがあります。
まず、「銀行系カードローンは総量規制の対象外である」という事を覚えておきましょう。
総量規制とはキャッシング利用者の借り過ぎを防止する目的から2010年に施行された法律であり、借り入れ額は利用者の年収の3分の1までと定められています。
銀行系カードローンは消費者金融系に比べて金利が低く設定されているため利用者が破産するリスクが低く、総量規制の対象外となっているのです。

次に、銀行系カードローンの特徴として「過払い金請求が出来ない」という点も挙げられます。
過払い金とは2010年に改正賃金業法が完全施行される以前に存在していたグレーゾーン金利によって、カードローンやキャッシングにおいて本来支払わなくてもよかった利息の事です。
この過払い金は正規の手続きによって取り戻す事が可能ですが、そもそも銀行系カードローンはグレーゾーン撤廃以前から利息制限の範囲内で貸し付けを行っていたので過払い金は発生していない事になります。

「銀行系カードローンには一般的に保証会社が付いている」という特徴も覚えておきましょう。
銀行系カードローンを利用した段階で保証会社とも関わりを持つ事になるという点は、債務整理を視野に入れる場合には重要なポイントになります。
銀行系カードローンの債務整理は、会社を巻き込んだ手続きになるのです。

銀行系カードローンの4つ目の特徴は「同じ銀行の口座と関係している」という点です。
銀行系カードローンでは返済用の口座として、その銀行の口座が指定されているというケースが一般的となっています。
そのため、銀行系カードローンを債務整理にかけた際にはその口座が凍結される可能性が高く、生活に支障を来たす場合があるのです。
給与の振込みや各種引き落としの口座として利用している場合には早急な変更が必要でしょう。
また、多額の預金を残したまま凍結されて引き出せなくなってしまうと生活への影響は甚大です。

消費者金融系カードローン

消費者金融系カードローンの特徴を、銀行系カードローンの特徴と照らし合わせて見てみましょう。
まず、消費者金融系カードローンは総量規制の対象となっているため、利用者の年収の3分の1を超える貸し付けを行う事が出来ません。
この総量規制による貸し付けの上限は、1つの賃金業者に対してではなく「銀行を除いた全ての金融機関からの貸し付け合計額」が対象である事に注意しましょう。
また、消費者金融系のカードローンの場合、業者によっては改正賃金業法の完全施行前にグレーゾーン金利で貸し付けを行っていた可能性あります。
グレーゾーンの金利を支払っていた場合、過払い金請求という手続きを行えば取り戻す事が可能です。

消費者金融系カードローンには一般的に保証会社は付いていません。
消費者金融が銀行系カードローンの保証会社になっているケースが多いのは、グレーゾーン撤廃によって消費者金融の経営状況が悪化したという事が影響していると言われています。
比較的経営の安定している銀行と提携したりグループ企業になったりする事で、多くの消費者金融が生き残ってきたのです。
また、消費者金融系カードローンは返済や借り入れに利用する口座と直接的な関係がないため、基本的に債務整理に際して凍結される心配はありません。

上記以外にも、消費者金融系カードローンの特徴としては「審査時間が早い」という点も挙げられます。
銀行系カードローンの場合、警視庁が管理するデータベースを審査に利用するため最短でも翌日まで時間がかかるのが一般的です。
一方、消費者金融系カードローンでは独自のスコアリングシステムを活用するなどして審査時間を短縮し、最短で当日融資に対応するところも少なくありません。

銀行系カードローンにおける債務整理の特徴

銀行系カードローンによる借金も、他の債務と同様に債務整理にかける事が可能です。
しかし、銀行系カードローンは消費者金融のカードローンやキャッシングを債務整理する場合と事情が異なる点も少なくありません。
他の債務や月々の返済額にも影響するケースがあるので、銀行系カードローンの債務整理についてその特徴を押さえておきましょう。

債務整理を進める相手は銀行ではなく保証会社である

銀行系カードローンには保証会社が付いているので、債務整理にかけた場合に手続きを進める相手は銀行ではなく保証会社となる事を覚えておきましょう。
銀行系カードローンを債務整理すると、銀行側は保証会社に対して「代位弁済」という手続きを請求します。
代位弁済とは、保証会社が債務者に代わって銀行へ借金を返済する事です。
当然これは一時的に立て替えているだけなので、代位弁済の後は保証会社から債務者に対して請求が行われます。
代位弁済によって銀行は債務整理の手続きから切り離され、債務者は保証会社と手続きを進める事になるのです。

銀行系カードローンに付いている保証会社は消費者金融が担当しているのが一般的です。
保証会社である消費者金融からも借り入れがある場合、その消費者金融からの借金も巻き込んで債務整理する事になってしまうので注意しましょう。
債務整理にはいくつかの種類がありますが、裁判所を介さない「任意整理」と呼ばれる債務整理は対象とする債務を自分で選択する事が出来ます。
任意整理によって消費者金融からの借り入れを除外したい場合は、銀行系カードローンの保証会社になっていないか注意が必要です。

月々の返済額が増えるケースがある

債務整理は債務者の負担を軽減し、無理のない返済計画を立てる事が主な目的です。
したがって、債務整理の後は月々の返済額が減るというのが一般的になります。
ただし銀行系カードローンを債務整理にかけた場合、状況によっては債務整理後に月々の返済額が増えるというケースがある事に留意しておきましょう。
銀行系カードローンは一般的な消費者金融よりも月々の最低返済額が低く設定されている事が多いと言えます。
その一方で、債務整理にかけて当初の返済計画よりも分割回数を少なく設定すると、債務残高が大きい場合は月々の返済額が増えてしまうケースもあるのです。
債務整理によって最終的な返済額は減っていますが、分割回数と月々の返済額のバランスには十分注意しましょう。

元本は減額できない

債務整理ではグレーゾーン金利によって発生した過払い金を取り戻す事を期待する利用者も少なくありません。
しかし、銀行系カードローンは元々低い金利で貸し付けを行っているケースが多く、過払い金が発生している可能性は低いと言えます。
銀行系カードローンの債務整理では過払い金請求による元本の相殺はほぼ期待出来ないと考えておきましょう。

将来利息をカット!銀行系カードローンの債務整理を行うメリット

「元本が減らないなら、債務整理するメリットってないのでは?」と考えてしまう人も居るのではないでしょうか。
銀行系・消費者金融系を問わずカードローンの返済は「元本+金利」という構成になっています。
確かに元本を減額する事は難しいですが、銀行系カードローンを債務整理にかける事で「将来的に発生する金利」をカットする事は可能なのです。
金利が無くなれば最終的に返済する金額を減らす事が出来るので、これは大きなメリットであると言えます。

融資元である銀行は債務整理が始まるとすぐに保証会社へ代位弁済を請求しますが、保証会社の方は任意整理による利息カットに応じる場合が多いのです。
銀行系カードローンの債務整理では代位弁済により銀行が損をする事はありません。
ただし、借金を立て替えた保証会社としては債務者が自己破産してしまえば債務が一切回収出来なくなってしまいます。
そのため、任意整理で利息をカットして債務者の負担を減らし、元本だけでも回収する方が良いというのが一般的なのです。

注意したい!預金口座の凍結について

銀行系カードローンの債務整理において、最も注意しておきたいのは「預金口座の凍結」という事態です。
日常生活におけるその口座の利用状況次第では、生活に及ぼす影響の大きさは計り知れないものになります。
ここでは債務整理による預金口座の凍結について、具体的に3つのポイントを見ていきましょう。

口座凍結の理由と凍結期間

銀行が債務整理において債務者の口座を凍結させるタイミングは、債務整理が開始となった直後です。
弁護士などの専門家に債務整理を依頼する場合、専門家が依頼を受けた事を証明する「受任通知」と呼ばれる書類を債権者に送付します。
この受任通知が債権者である銀行のもとに届いた段階で口座は凍結されるものと考えておきましょう。

銀行が債務者の口座を凍結するのは、預金残高を債務との相殺に充てるためです。
相殺して残った債務に関しては、債務者と保証会社との間で債務整理を行う事になります。
なお、預金口座の凍結は永久的に続く訳ではありません。
保証会社による代位弁済が完了した段階で預金口座の凍結が解除されるというのが一般的です。
凍結期間は1~3ヶ月程度ですが、銀行によって対応が異なるので注意しておきましょう。
凍結が解除されれば以前のように預け入れや引き出しは問題なく行えるようになります。

口座凍結のデメリット

預金口座が凍結されるとお金を振り込む事は可能ですが、引き出しが一切出来なくなります。
その口座の預金を生活費として利用していた場合や、給与の振込み口座にしていた場合は生活に大きな支障を来たすでしょう。
電気・ガス・水道など公共料金の引き落とし口座に指定した場合は、引き落としがかからないという事態になります。
また、凍結された口座の預金はまず債務との相殺に充てられるので、凍結解除後にはお金が残っていないというケースも十分にあり得るので留意しておきましょう。

凍結の対象となる口座

債務整理を行っても全ての銀行口座が凍結される訳ではありません。
凍結の対象となるのは、あくまで債務整理の対象となった銀行の口座のみです。
その他の銀行口座はいつもどおり利用出来るので安心しましょう。
なお、同じ銀行で別々の支店に口座を持っている場合は、両方とも凍結の対象となる可能性が高いです。

口座凍結前に対応すべきポイント

銀行系カードローンの借金を債務整理にかける場合、残念ながらその銀行の口座凍結を回避する事は出来ません。
しかし、凍結される事が分かっているのであれば、前もって対応策を講じる事も可能です。
口座が凍結されても困らないように、3つのポイントを押さえておきましょう。

預金はすべて引き出しておく

債務整理を検討しているという事は、経済的に余裕がないというケースが多いでしょう。
そのような状況では、少しでも多く手元に利用出来るお金を残しておく事も重要です。
債務整理の対象となっている銀行の口座からは、予め預金を全て引き出しておくようにしましょう。
口座にお金が残っていると債務との相殺に回されてしまいますが、手元にあれば生活費や当面の資金として利用する事も可能です。
手元に残しておくか凍結されない口座に入れておくのが良いでしょう。

給与口座や引き落とし口座を変更する

給与の振込みや公共料金の引き落とし口座に利用している場合は、凍結されない別の口座への変更や支払い方法の変更といった手続きをとりましょう。
口座が凍結されても給与は振り込まれますが、引き出す事が出来ないので意味がありません。
別の口座を持っていない場合には、口座開設にかかる時間も考慮しておく事が重要です。
公共料金や電話代の支払い先や勤務先についてもすぐに変更手続きが完了するとは限らないので、出来るだけ早めの対応が望ましいと言えるでしょう。

その他の入金先口座を変更する

時間差で振り込まれる売掛金のようなお金に利用している口座が凍結対象となっている場合にも注意が必要です。
法律の上では、口座が凍結された後に振り込まれたお金を銀行が債務との相殺に利用する事は禁止されています。
ただし、その売掛金を債務者が引き出すためには代位弁済を行った保証会社の了解をとる必要があるなど、手続きが複雑になってしまうのです。
したがって、売掛金のように予め入金の予定がある場合には先方へ連絡し、別の口座へ振り込んでもらうように案内しておきましょう。

銀行系カードローンも債務整理の対象にしよう

銀行系カードローンは債務整理によって月々の返済額が増えてしまうケースもありますが、将来利息のカットによって返済総額を減らす事が出来るのは大きなメリットです。
預金口座の凍結に関しても、事前にしっかりと対処しておけば生活に大きな支障を来たす事もないでしょう。
借金の苦しみを和らげて生活を立て直すためにも、今回ご紹介した内容を参考にして銀行系カードローンの債務整理を進めてみてください。

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