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任意整理後のブラックリスト登録期間はいつからいつまで?

任意整理は借金を整理する「債務整理」の一つの方法で、裁判所や法律の強制力を持って行う法的整理ではなく、弁護士を立てて私的に交渉する手続きです。
法的整理にも私的整理にもメリット・デメリットがありますが、共通するデメリットは指定信用情報機関へ金融事故情報が登録されることです。
それによって様々な弊害が出ますので、ここではその登録の期間から発生するデメリットまでをまとめます。


ブラックリスト状態とは

よくブラックリストという言葉が使われますが、金融関連の個人情報について、どこかにブラックリストというリストが存在するわけではありません。
個人の信用情報は個人情報保護法によって守られているため、金融会社が勝手にリストを作って共有することは許されていません。
しかし、それでは与信判断の障害になるため、内閣総理大臣の認可を受けた「指定信用情報機関」と言う組織が個人の信用情報を保管し、登録企業会員に公開するというシステムになっています。

この指定信用情報機関に「借り入れの返済に問題があった」と言う内容が記録されることを、俗に「ブラックリスト状態になる」と言っているのです。
債務整理もその問題の一つにあたります。

任意整理の手続きとその期間

任意整理が行われると、それによる返済期間は3年(36回)を目安に設定されることが多くなっています。
状況次第では5年(60回)が設定される可能性もなくはありませんが、一般的に36回を超えて安定返済するのは困難であるという考え方がベースにあるようです。
3年で完済が困難と考えられる場合は法的整理に移行する可能性もあります。
法的整理の残債次第では自己破産ということが視野に入ってくるかもしれません。
では、そもそも任意整理手続きに取り掛かってから完了し、整理後の返済開始に至るまではどのくらいの時間がかかるのでしょうか。
ここでは具体的な手続きの内容と、それにかかることが予想される期間についてお話しします。

自分で借入金状況を確認する

任意整理は弁護士に依頼して手続きを進めて行くことが多いです。
ですから、まず自分の借り入れに関して「どの業者から」「現在いくら借りているのか」については最低限取りまとめておく必要があります。
その上でそれぞれの業者について「いつから借りているのか」「借りたり返したりした実態がわかるもの」を準備できるとより話が早く進みます。
極度額方式で借り入れを行っている場合、毎月一定額を返済しながら極度額の範囲で借り足すことが多くなりますから、その動きが分かる情報はあとからでも良いので準備したほうが良いです。

情報を取りまとめる際には、業者から受け取った明細書や請求書、契約書があると確実です。
また、銀行の通帳など引き落としで支払った履歴についても準備しておきましょう。

弁護士への任意整理を依頼する

任意整理の実務は弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。
依頼先を探す場合、借金問題に強い事務所を探すと良いでしょう。
たとえば弁護士を選ぶ場合、闇雲に選んだのでは良い弁護士と巡り会えないかもしれません。
そもそも任意整理をする人はお金がないからそうした事態に陥っているわけです。
それなのに弁護士費用が高い事務所を選んだのでは本末転倒です。
インターネットや弁護士会の無料相談などを利用して、報酬を明確に示してくれていて借金問題に強そうなところを探しましょう。
そして何度かは事務所に足を運ぶことになりますので、自分にとって行きやすい場所に事務所を構えている弁護士を探すと便利です。

弁護士に依頼を行う際には結構たくさんの書類が必要になります。
それはあらかじめ確認しておいて契約前に提出して下さい。
弁護士に依頼を行うと、弁護士から債権者に向けて「受任通知」と言う書類が送られます。
これが届いたら債権者は債務者に直接督促を行ってはいけないと貸金業法に定めがあるのです。
つまり、依頼して数日で督促が止まることになるので、督促でストレスを感じていた人は一息つけるということでもあります。

利息の引き直し計算をする

弁護士からの受任通知を受け取った債権者は、折返し弁護士宛に取引履歴を送ってきます。
任意整理では債権者にこれを送る義務はないのですが、実際には事務的に送られてくるようです。
ただ、返送されてくるまでの期間は貸金業者などによってまちまちで、数日程度で送ってくる業者もあれば、数か月かかる業者もあります。
弁護士は返送されてきた取引履歴をもとに、利息制限法に基づいて借り入れと返済の再計算を行うのです。
古い契約などで、かつて存在したグレーゾーン金利を支払っていたなどのケースでは債務が減ることもありえますが、2010年6月18日以降適法に貸し出されていた場合には債務が減る可能性は少なくなっています。

交渉

弁護士による利息の引き直し計算によって返済するべき金額が確定したら、返済期間と一回あたりの支払金額を決め、債務者がそれを確認します。
債務者がこれを了承した場合、弁護士はその計画を債権者に送って、判断を待つことになるのです。
この際に、任意整理後の利息の発生を止めてもらったり、遅延損害金を免除してもらったりという交渉が行われることになります。
それを債権者側が受け入れた場合、和解という形で終了しますが、受け入れられなかった場合妥結できる部分を探っての交渉が継続されるのです。
早い場合、弁護士からの提案後一週間くらいで和解が成立する場合もありますが、長いと数か月かかる場合もあります。

和解契約

弁護士を挟んで債権者と債務者の間で合意が形成されたら、それに基づいた和解契約書を作成し、和解契約を締結します。
これによって任意整理は完了し、和解契約に基づいた返済が再開されることになるのです。
任意整理によって確定した返済は必ず履行しなくてはいけません。
もし支払い条件が厳しいと感じたなら弁護士に相談し、必要に応じて自己破産などの法的整理に切り替えることも検討すべきです。
中途半端に任意整理を行って、結局それも支払えなかったということになると、もう一度最初から整理の手続きをやり直すことになり、手間もお金も倍以上になるでしょう。

上記のステップにかかる期間

任意整理の手続きにかかる時間は、相手の債権者によってかなり大きく変わります。
事務的に進めてくれる相手なら1か月くらいで完了しますが、対応が遅かったり少しでも回収する金額を多くしたいと考える業者だったりした場合には、交渉を含めて半年以上かかるケースもあります。
ただ、先にもお話したように、返答で返済が不可能な条件を提示されたのでは、債務者が自己破産に切り替える可能性もあり、その場合回収そのものができなくなるかも知れないのです。
貸金業者側はそうしたリスクも検討しますので、目安としては3か月から半年ぐらいと見積もっておけば良いでしょう。

任意整理後の登録期間

日本には個人が対象の指定信用情報機関として3社が認可されています。
それぞれに登録される情報や登録期間が異なりますので、以降で詳しく解説して行きます。
ただし、それぞれの機関は金融事故に関する情報を共有するというルールがあるので、事故情報を隠すということはできませんから注意して下さい。

JICC

JICCの略称で呼ばれる株式会社日本信用情報機構は、貸金業法に基づく消費者金融系の信用情報機関です。
ここには入金が3か月以上遅れた延滞情報や、その延滞が解消した情報、任意整理、法的整理などの情報が登録されます。
自己破産・個人再生・任意整理のいずれの債務整理でも、登録期間は5年間です。
任意整理の場合は、弁護士から受任通知が届いた時から和解までの間の任意整理期間中に情報が登録されます。
そして、仮に和解による返済期間が5年以上であった場合でも、5年経ったタイミングで情報が消えるという特徴があるのです。

基本は3年から5年の返済期間になる任意整理ですから、めったに起こらないことではありますが、情報として知っておいてもいいでしょう。

CIC

CICの略称で呼ばれる株式会社シーアイシーは信販系の信用情報機関です。
ここは割賦販売法と貸金業法の2つの法律に基づく情報の登録を行っているため、加盟会社も多くなっています。
クレジットカード会社や信販会社が中心ではあるものの、貸金業者の加盟も少なくありません。
JICCとのダブル加盟も多く見られます。
これはクレジットカードにキャッシング機能があることに由来します。
カードショッピングは割賦販売法の範疇ですが、キャッシングは貸金業法の管轄になるのです。
ここにはクレジットカードなどの申込みの事実から支払状況など事細かに情報が登録され、原則として契約終了から5年間情報が残ります。

債務整理については自己破産以外登録されません。
しかし、任意整理を行うとカード会社などは保証会社に代位弁済を求めます。
契約に基づいて保証会社が残債を一括で弁済すると、終了状況欄に「異動」と記入されます。
これは金融事故があったことを示しているのです。
この情報は代位弁済によってカードが解約された時から5年間残ります。
このタイミングで債権はカード会社などから保証会社に移りますので、弁護士による交渉も保証会社が相手に変わるのです。

KSC

KSCの略称で呼ばれる全国銀行個人信用情報センターは、全国銀行協会の信用情報機関で、銀行法などに基づくものとなっています。
会員資格は銀行やそれに準ずる組織です。
ここは最も長い期間情報を保存する厳しい組織ですが、それは自己破産と個人再生に関してのみです。
この2つはその情報が官報に掲載されます。
そして官報に掲載された情報は10年間記録が残るのです。
しかし、任意整理は官報に掲載されない債務整理ですから、KSCの情報にも載りません。
ただし、任意整理に伴って保証会社などによる代位弁済が行われると、その情報は記録されて5年間残るようになっています。

登録期間中にできないこと

割賦販売やクレジットカードの利用、消費者金融や銀行からの借り入れは、全て契約審査の際に指定信用情報機関の個人情報を照会します。
そして、そこに金融事故に関する情報があった場合まず審査に通りません。
つまり金融に関して信用を失った状態になっているわけです。
ここでは、信用情報に傷がついている場合、どのようなことに支障が出るのかについて説明します。

クレジットカードの変更

金融事故の情報があると、新たにクレジットカードを発行することは基本的にできません。
ただし、国際ブランドの付いたデビットカードやプリペイドカードはほとんどの場合審査が行われませんから、それで代替できるようであれば検討してみてもいいでしょう。
どうしてもクレジット機能が必要なら、家族のカードの家族会員となって、家族カードを発行してもらうという方法も考えられます。
本人が任意整理を行っても、家族に影響することは原則としてありません。

また、任意整理の対象になっていない(そのカードでは借り入れをしていない)クレジットカードを持っていたとしても、カードの更新などの際に途上与信が行われて、更新を断られ強制解約されることもあります。

キャッシング

消費者金融等の借り入れも、JICCに金融事故の記録が残っていると断られます。
また、金融会社によってはJICCと同時にCICにも加盟していることがあります。
その場合、どちらかに記録があると断られるでしょう。
JICCには任意整理を開始した時に記録され、そこから5年で記録が消されます。
ですので、5年が経過したら新たな申し込みができるようになる可能性はあります。
もちろん、任意整理をした時の金融会社はJICCの記録ではなく、ずっと長い期間残る社内情報で審査することが多いので、その場合期間に関わらず審査には通らないでしょう。
申し込むなら別の会社を選んだほうが良いです。

各種のローン

分割払いなど各種のローンは、信販会社がCICの情報を照会します。
ですので、CICに金融事故の記録があると審査には通りません。
また、CICはJICC・KSCと金融事故情報を共有していますので、どこか1つにでも情報が残っていると審査通過はかなり困難になります。
意外に気づかないのが、携帯電話・スマホ本体の分割払いです。
これも多くの場合CICの情報を照会していますから、任意整理を行った場合分割でスマホなどを買うことができなくなります。

奨学金の連帯保証人

奨学金に限らず、他の人の借金やローンの連帯保証人になることができません。
それが奨学金の保証であっても保証能力なしとみなされるのです。
ですので、子供の奨学金の保証人は身内の誰かに依頼せざるを得ません。
奨学金によっては保証料を支払って機関保証が受けられる場合もあるので、それも検討してみて下さい。
さらに、一部の賃貸住宅では個人ではなく保証会社による保証を求めているケースがあります。
その一部には信販会社などが保証を行っているケースがあるのですが、そうした場合には賃貸住宅を借りることもできません。

登録期間は信用回復に努めよう

さて、いろいろな内容をお話してきましたが参考になったでしょうか。
借金の整理をするというのはなかなかに大変ですが、生活を立て直すためにも、少しでも早く行動を始めて下さい。
指定信用情報機関に金融事故の情報が登録されている間、あなたの金融に関する信用は極めて低いレベルに落ちています。
登録はその事実が誤りであることを証明しない限り決して消せません。
着実に返済を行って信用回復に努めて下さい。

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