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住宅ローンの任意整理はできるの?仕組みから分かりやすく解説

2020年4月10日 公開 更新

借金の返済が滞り生活に支障が出るようになってしまった。
そんな事態を解決するための手段として、任意整理という方法があることをご存知でしょうか?この任意整理、住宅ローンの支払いにも適用できるのか気になっている人も多いでしょう。
この記事では、任意整理の詳しい内容と、住宅ローンに適用できるか否かについて紹介しています。


司法書士法人相澤法務事務所は2009年東京都板橋区にて開業2019年で10周年を迎える。
開業当初から「依頼者ファースト」を軸に少数精鋭スタッフにより事務所を運営。
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司法書士法人相澤法務事務所

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代表司法書士 相澤 剛

任意整理とは

まずは任意整理の基本的な内容について知りましょう。
任意整理とは債務整理の一種類です。
借金返済が滞って生活が苦しくなったり、督促状や返済を促す連絡が引っ切り無しでは落ち着いて生活することができなくなってしまいます。
債務整理はそんな事態を解決するための手段で、借金を減額したり返済スケジュールを組み直すことで生活を立て直すための手続きなのです。
任意整理の他に個人再生や自己破産といった種類があります。
それぞれ特徴や借金が免除になる範囲が違うため、生活状況や借金額に合わせて手続きの種類を選ぶことになります。

任意整理は、債権者と借金の減額や金利の引き直しなどを交渉することで毎月の返済額を減額し、無理のない範囲で返済を行って行けるようにする手続きです。
債権者との交渉を必要とするため、債務者本人が行うのではなく、弁護士や司法書士といった専門家に依頼して手続きを進めてもらうのが一般的です。
裁判所を通さないため比較的手続きが簡単で、債務整理の中では最も多く利用されています。

任意整理のメリット

債務整理の中でも最も利用されている任意整理。
具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

財産が維持できる

任意整理の非常に大きなメリットとして、財産を維持できるという点が挙げられます。
他の債務整理では、手元に財産を残すことが原則難しいです。
特に自己破産は一定以上の価値がある財産は全て処分されてしまいます。
個人再生の場合は、自己破産のように強制的に処分されてしまうことはないものの、高価な財産は手放して返済に充てなければなりません。
というのも、この2つの手続きでは対象となる債務を選ぶことができず、全ての債務が手続きの対象になるからです。

ここに任意整理のメリットがあります。
任意整理は対象となる債務を、債務者が自由に選ぶことができるのです。
つまり手元に残したい財産があるなら、それを残すことができるということです。
自宅を残したいなら住宅ローンを、自動車を残したいなら自動車ローンを手続きの対象から外しておけば、その財産は手放さずに済みます。
絶対に手放したくない財産がある人にとって、任意整理はまさにうってつけの債務整理方法と言えるでしょう。

裁判所を通さない

任意整理の大きな特徴として、裁判所を通さない手続きであるという点が挙げられます。
基本的には債権者との話し合いだけで手続きが進むため、非常に簡単です。
自己破産や個人再生といった他の手続きは裁判所を通さなければならないため、複雑な書類を作成するのはもちろん、裁判所に出廷する必要もあります。
その点任意整理であれば、弁護士や司法書士などの専門家に依頼すれば、債務者本人がすることはほとんどありません。
負担が小さくて済むというのは、大きなメリットと言えるでしょう。

任意整理は弁護士や司法書士とのやり取りのみで手続きを進めることができるため、職場や家族に内緒で債務整理をしたい人にもおすすめです。
もちろん絶対にバレない訳ではありませんが、裁判所に行くために平日昼間に仕事を休んだり、個人再生委員や破産管財人などに面談に行く必要がありません。
また裁判所に提出するための書類発行も必要ないので、自己破産や個人再生に比べれば周囲にバレてしまう可能性ははるかに低いと言えるでしょう。

過払い金の発生が見込める

任意整理を行うと、過払い金請求が発生することがあります。
過払い金とは、2010年の法改正以前に、利息制限法と出資法という2つの法律の間に存在していた上限金利の差が生み出した、本来であれば支払う必要のない利息のことです。
基本的に任意整理は元本を減らす手続きではないのですが、過払い金が発生していることが分かれば、元本を大きく減らせるかもしれません。
場合によっては借金を返済した上で、お金が手元に戻ってくる可能性もあります。

任意整理で出来ること

任意整理をすると、具体的にどのような効果が生まれるのでしょうか。

リスケジュール

任意整理を行うと、借金返済のリスケジュールを行うことになります。
リスケジュールとは、支払期間を延長することです。
これによって月々の返済額を減らし、生活にゆとりを持つことができます。
任意整理の場合は最大3年36回払いへの延長が一般的ですが、債権者と交渉して同意を得られれば5年60回払いまで延長することが可能です。

将来利息のカット

借金は返済期間が長くなれば長くなるほど利息が大きくなります。
リスケジュールによって月々の返済額が小さくなっても、返済期間が延びてしまえばトータルで支払う金額は大きくなってしまいます。
これでは任意整理の意味がありません。
こうした事態を回避するために行われるのが将来利息のカットです。
将来的に発生する利息をなくしてもらうことで、任意整理以降は元本のみを返済していくという形になります。
この手続きによって、返済期間が長くなってもトータルで支払う金額を大きく減らすことが可能になるのです。

遅延損害金の免除

債権者に合意してもらうことができれば、遅延損害金の支払いを免除してもらえる可能性もあります。
遅延損害金とは、債務者の返済が遅れたために、債権者側が損害を被ったとして請求してくるお金のことです。
この遅延損害金は法律に基づいたものなのですが非常に金利が高く、返済が滞った結果金利と合わせてどんどん返済額が増えてしまったという事態も珍しくありません。
任意整理であればこの遅延損害金を免除してもらい、返済額を圧縮できる可能性があります。

抵当権について

任意整理と住宅の関係について考える前に、住宅ローンと抵当権に付いてしっかりと確認しておきましょう。
人間の人生で一番大きな買い物が家だと言われている通り、住宅を購入するには非常に高額なお金が必要になります。
一括で用意できる人はまずいないので、家を買うときは金融機関からお金を借りそれを20年から30年という長期間にわたって返していくというのが一般的な形です。
これが住宅ローンです。
住宅ローンを組むことができれば、一度に大きなお金を用意しなくても新しい家に住み始めることができます。

しかし、銀行側からすれば住宅ローンは非常にリスクの大きな仕組みです。
貸し出す金額が大きい上に、完済には20年から30年という非常に長い時間がかかります。
返済期間が長ければ途中で返済できなくなる可能性も増えますし、返済できなくなれば巨額の債権を失ってしまいます。
こうしたリスクを回避するため、銀行は家や土地に「抵当権」を設定します。
抵当権を設定すると、その家や土地をいわば「担保に取る」状態になります。
この抵当権を持っていれば、仮に返済が滞ったとしても家や土地を強制的に売却し、その売却金額を優先的に返済に充ててもらうことができるのです。

住宅ローンの任意整理はできるのか

自宅を残しつつ債務整理をしたい場合、どのように行動すればいいのでしょうか。
まず自己破産を行うと自宅は強制的に売却され、その売却益は債権者に分配されることになります。
自宅を残したいのであれば個人再生か任意整理を選択することになりますが、任意整理の場合大幅な減額は期待できません。
というのも、銀行や住宅ローン会社は家や不動産に抵当権を持っているからです。
そもそも債権者側がなぜ損をする任意整理に応じてくれるかというと、「自己破産されて債権回収ができなくなるより、利息は取れなくなっても任意整理で返済してもらえる方がお金が返ってくる」からです。
抵当権を持っていれば、任意整理に応じなくても抵当権を行使して不動産を競売にかければある程度のお金は戻ってきます。
そのため、自宅を残しつつ住宅ローンを整理することは難しいと言って良いでしょう。

自宅を残して任意整理によって生活を立て直す場合、住宅ローンを任意整理の対象から外し、他の債務を整理するという形になります。
ただしこの場合住宅ローンの支払いは丸ごと残るため、住宅ローンの支払いを続けながら他の借金を返済して行けるかどうかしっかり検討する必要があるでしょう。
任意整理は借金の圧縮率が他の債務整理方法と比べて小さいため、特に慎重に返済計画を立てる必要があります。

そもそも住宅ローンの返済が苦しくなっているという場合は、自宅の処分を検討しなければなりません。
この場合、自宅を任意売却して売却代金をローン返済に充て、残余を任意整理するという方法が最も一般的です。
任意売却は住宅ローン返済が滞ったときに、債権者と交渉した上で自宅を売却するための手段です。
競売で強制的に自宅が売却されてしまうのを回避するために用いられます。
競売よりも市場価格に近い金額で自宅を売却することができるので、ローン残債を減らして自宅処分後の返済を楽にすることができるのです。

家を無くさずに任意整理する方法は?

自宅を残しつつ、住宅ローンそのものを任意整理することは難しいのが現実です。
ただ自宅を失わずに済む方法がない訳ではありません。
任意整理は対象にする債務を選ぶことができるので、住宅ローンを対象から外せば自宅を残すことはできます。
他の債務を任意整理することで借金を減額し、その分を住宅ローンの返済に充てることができないか一度検討してみましょう。
ただしこの場合住宅ローンの返済はそのまま残るため、そもそも生活を圧迫しているのが住宅ローン、という場合は依然生活苦が続いてしまうというデメリットが生じます。

まずは弁護士に相談しましょう

任意整理の仕組みやそのメリットを理解することはできたでしょうか。
残念ながら抵当権が設定された自宅を手元に残しつつ任意整理を行う、ということは難しいと言わざるを得ません。
しかし他の債務を任意整理することで住宅ローン返済を続けていける、つまり自宅を残せる可能性はあるので、まずは弁護士や司法書士に相談してみましょう。

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