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任意整理の手続きはどのように進めるのか?流れや期間を解説!

日本では借金に苦しむ債務者を救済する法的な措置として債務整理という制度が設けられています。
債務整理は何種類かの手続きをまとめた総称ですが、中でも比較的簡易な手続きである「任意整理」を行う人が多いです。
しかしこうした未知の手続きに関して、進め方や期間が気になるという人も多いでしょう。
今回は任意整理の手続きに必要な期間や一連の流れ、手続きを行う前に知っておきたい予備知識などをご紹介します。


任意整理とは

任意整理とはいくつかある債務整理のうちのひとつであり、裁判所を仲介しないという点が大きな特徴です。
債権者と直接交渉を行うため手続きが比較的スピーディーに進み、周囲の人に債務整理の事実を悟られにくいと言えるでしょう。
また、債務整理にかける債権者を選ぶ事を出来るという点も、任意整理における特徴となっています。
例えば残債が少ない借金を除外して任意整理にかかる費用を抑えたり、保証人付きの借金を除外して他の人に迷惑がかかることを防いだりする事が出来るのです。
任意整理の主な目的は将来利息などをカットしてもらい、月々の返済負担を軽減するという点にあります。
あくまで借金を完済する事が前提となっており、借金が免除される訳ではないので注意しておきましょう。

任意整理する前に知っておくべきこと

任意整理に対する予備知識が無いまま手続きに踏み切ると、予期せぬ事態を招いてトラブルの原因にもなり兼ねません。
安心して手続きを進められるように、ここで任意整理について知っておくべき事をしっかりと把握しておきましょう。

任意整理の分割返済期間は3年が目安

任意整理では債権者との交渉が大きなポイントになります。
基本的には分割返済のプランを提案して和解を目指す形になりますが、交渉に応じてくれるかどうかは債権者次第です。
とは言え、債権者としても出来るだけ確実にお金を回収したいというのが本音なので、和解交渉に応じてくれるケースが多いと言えます。
ただし分割返済はどれだけ長い時間がかかっても良いという訳ではありません。
原則的に任意整理で和解した場合の返済期間は3年間(36回払い)と言われています。

債務者の経済状況を考慮して最長5年間まで認められる場合もありますが、あまり返済期間が長引いてしまうとケガや病気などで収入が無くなってしまう危険性もあるので注意が必要です。
一般的に債権者が応じてくれる分割期間は3~5年の間であり、残債の完済までにそれ以上の時間がかかる場合は自己破産や個人再生といった債務整理を検討する必要も出てきます。

任意整理には一定の制限が伴う

任意整理には借金返済の負担を軽減するという大きなメリットが期待出来ますが、その反面である一定の制限が設けられるというデメリットも生じます。
その最たるものが、信用情報機関に事故情報が登録されてしまうという事です。
信用情報機関とは個人信用情報を管理している組織であり、ローン・キャッシング・公共料金などの支払い履歴のデータが集められています。
この個人信用情報に事故情報が登録される事は俗に「ブラックリスト状態」と呼ばれているのです。

個人信用情報は必要に応じて金融機関や消費者金融が参照出来る仕組みになっており、申し込み者の支払い能力が信用に足るものであるかどうかの判断材料にされています。
そのため、借金を整理したという事実が記録されているとローンやクレジットカードの審査に受かる事がほぼ不可能になってしまうのです。

登録された事故情報は永久的に残るものではありませんが、消滅するには一定期間が経過する必要があります。
消滅までの期間は債務整理の種類にもよりますが、任意整理の場合は原則的に「借金の完済から5年間」とされているので覚えておきましょう。
なお、信用情報機関で管理しているデータとは別に各賃金業者が独自に管理している情報というのも存在します。
信用情報機関のブラックリストが解除されたとしても、賃金業者内の社内ブラック状態は解除される事はありません。
そのため任意整理から5年以上が経過したとしても、任意整理がきっかけで解約になった会社のクレジットカードは作れないのです。

委任したときは自分でできることが限られる

任意整理は自力で手続きを進める事も可能ですが、弁護士や司法書士といった専門家に依頼するのが一般的です。
これは任意整理を行う過程である程度法律的な専門知識が必要になる事や、専門家の方が債権者との交渉に長けているという事が関係しています。
一度専門家に任意整理の代理人を依頼すると、債権者とのやり取りは全て専門家任せです。
専門的な作業を任せる事が出来る安心感はありますが、一方で委任した後は経過報告を待つ以外に自分で出来る事がほとんど無くなります。
債務状況や債権者によっては交渉が長引くケースもあるので、不安に感じる人も少なくありません。
そうした場合には依頼した専門家に連絡を取れば途中経過を教えてもらえるので、遠慮せずに問い合わせてみると良いでしょう。

積立金制度を設けている事務所もある

専門家に依頼するためにはある程度の費用が必要になります。
一般的にはまとめて支払うか分割払いという形が多いですが、事務所によっては積立金制度を設けている場合があるので留意しておきましょう。
任意整理を専門家に依頼すると債権者からの取り立てがストップし、一時的に債務の返済を行わなくて良い期間が生まれます。
通常、この期間を利用して専門家報酬を積み立てておくのがこの積立金制度です。

専門家も仕事で債務者の依頼を受託しているので、報酬の支払いは死活問題になります。
任意整理を検討している債務者には経済的な余裕がない事は専門家も承知の上なので、無理のない範囲で支払いを確保しておけるというのが専門家にとってのメリットです。
一見すると専門家にしかメリットがないように思えるこの積立金制度ですが、実は債務者にとってもメリットがあるので安心してください。

例えば任意整理を依頼する際には専門家に対して「着手金」と呼ばれる費用を支払う事が多い(事務所によっては不要)です。
専門家費用の内訳はいくつかありますが、着手金は手続きの早期段階である程度まとまったお金が必要になります。
任意整理に踏み切る段階では、着手金をすぐに一括で用意する事が難しいというケースも珍しくありません。
しかし積立金制度を採用している事務所では、積立金を作る代わりに着手金の納入期限を延ばしてくれる場合も多いのです。

また、積立金を納入する事で金銭感覚が狂わずに済むという点も債務者にとってのメリットです。
任意整理を専門家に依頼して債権者への支払いが一時的にストップした際、浮いたお金を他の事に使ってしまうという事も多いです。
債務者がこの感覚に慣れてしまうと、いざ残債の返済が始まった時に苦労してしまうでしょう。
積立金はこうした金銭感覚のズレを予防するためにも効果的な制度なのです。

任意整理で完済するまでの大まかな流れと期間

任意整理を行い完済するまでの流れや所要期間を予め把握しておけば、手続きに関する不安を取り除く事が出来ます。
自分のお金に関わる事なので、なるべく不安点や不明点の無い状態で手続きに臨みましょう。

任意整理の手続き

任意整理の手続きには一般的に2~6ヶ月程度の時間が必要とされています。
所要期間に開きがあるのは、任意整理にかける債権者の数や債務状況によって専門家の業務量が変動するためです。
大きな流れとしては「受任通知の送付」「取り引き履歴の開示請求」「利息の引き直し計算」「和解交渉」といった具合に手続きが進行していきます。

手続き後の返済

任意整理による債権者との交渉で和解案が締結されると、今度はその和解案に基づいて残債の返済が開始になります。
任意整理では「残債の長期的な分割払い」と「将来利息のカット」が主な目的です。
利息を省いた元本を3年間(36回払い)で完済するという返済計画が一般的になっています。
ただし、債務者の経済事情が芳しくない場合には最長で5年間(60回払い)まで返済期間が設けられるケースもあるのです。
債権者との合意の下に行うこの返済で遅延や未払いを重ねてしまうと、債権者から残債を一括請求される場合もあるので期日通りの返済を心がけてください。

借金の完済

晴れて借金を完済してもそれで全てが元通りという訳にはいきません。
任意整理を行う事で信用情報がブラックリスト状態になっている事を忘れないようにしましょう。
信用情報のブラックリスト状態が解除されるまでの期間は、任意整理の場合「借金の完済から5年」が一般的です。
仮に和解が成立してからすぐに3年間の計画で返済を始めたとしても、完済から5年間は信用情報のブラックリスト状態が続く計算になります。
この期間はローン商品の購入やクレジットカードの新規発行が出来ないので十分に注意しておきましょう。

任意整理手続きの流れ

任意整理から完済までの流れが掴めたところで、今度は任意整理の手続き自体を掘り下げて理解を深めておきましょう。
多少難しげな専門用語もご紹介しますが、基本的に手続きは依頼した専門家が代行してくれるので安心してください。

委任

任意整理は弁護士や司法書士に依頼する方が効果を期待出来るので、まずは委任する専門家を決めましょう。
専門家にはそれぞれ得意分野があり、どの事務所に依頼しても良いという訳ではありません。
任意整理を依頼するには、債務整理の実績やノウハウが豊富な事務所を選ぶようにしましょう。
基本的に専門家へ任意整理を依頼する際には、事前に面談による法律相談が推奨されています。
初回のみ無料で相談を行っている事務所も多いので、まずはこうした無料相談の機会を利用して信頼出来る専門家を探してみるのがおすすめです。
面談では主に債務状況・債権者との取り引き期間・現在の収支状況などが聞かれます。

任意整理を正式に受託した場合、まず専門家が行うのは「受任通知」の送付です。
受任通知とは正式に債務者の代理人となった事を債権者に通知するための書類であり、これを受け取った時点から債権者は債務者に直接連絡を取る事が出来なくなります。
この受任通知の送付によって債権者からの督促が止まるという仕組みになっているのです。
また、受任通知の送付から和解の成立までは一時的に返済を行う必要がなくなります。

取引履歴開示請求

専門家は受任通知を送付すると同時に、債務者と取引を行っていた債権者に対して取引履歴の開示請求も行います。
取引履歴の取り寄せにかかる期間は金融機関や取引期間の長さなどによって異なりますが、数週間から2ヶ月程度で郵送されてくるのが一般的です。
この取引履歴という資料は、専門家が利息制限法に基づいて行う「引き直し計算」と呼ばれる作業に使用されます。
利息の上限は利息制限法によって定められていますが、この法律には過去にグレーゾーンが存在しており2010年6月に改正施行されているのです。
したがって、それ以前に債権者との取引があった場合には本来支払う必要がなかった利息である「過払い金」が発生している可能性があります。
過払い金が発生していた場合は返還請求を行い、残債との相殺に充てるというのが一般的です。

債権者との交渉

引き直し計算の結果過払い金が発生していなかったり、過払い金で残債を相殺し切れなかったりした場合には債権者と和解交渉を行う必要性が出てきます。
和解案は債務者側で作成したものを債権者に提案するというのが原則です。
和解案の骨組みは「3~5年間での分割払いによる完済」「将来利息のカット」の2点が大きな柱となります。
ただし、任意整理はあくまで債権者と「交渉」する手続きです。
提案した和解案に対してどの程度条件を飲んでくれるかは債権者次第と言えます。
それゆえに、交渉術に長けた弁護士などの専門家に依頼する事が重要になるのです。

返済再開

無事に債権者との和解が成立したら、後々のトラブルを避けるために合意書を作成するのが通例です。
口頭でも和解は成立し得ますが証拠として残らないため、稀に言った言わないの水掛け論に発展する事があります。
こうした無用なトラブルを防止するために、合意書という形にして和解の事実を残す事で法的な効力を持たせるのです。
債務者は合意書の内容に基づいて残債の返済を再会する事になります。
返済方法は債権者指定の銀行口座に債務者が振り込むという形式が一般的です。
合意書の内容通りに残債を完済したら、晴れて任意整理が完了となります。

任意整理で早く問題が解決することも

今回は任意整理の流れや所要期間について詳しくご紹介しました。
任意整理は債務整理の中でも融通の利く手続きであり、裁判所を介さない分スピーディーな借金問題の解決が期待出来ます。
任意整理にかける債権者が多い、債権者の対応が遅いといった事がなければスムーズに手続きを進める事が出来るでしょう。
借金問題はひとりで抱え込まず、専門家の力を頼って迅速かつ効率的に解決する事が大切です。

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