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自己破産の条件はどんなものがある?

2020年3月24日 公開 更新

自己破産とは、自力での返済が行えなくなった場合に自らの全財産を換金し、清算して生活を立て直す方法です。
免責までされれば支払い義務を免れることが出来るため、生活の立て直しには役立ちますが、安易に実行することは出来ません。

では、どういった条件が成立すれば自己破産が可能となるのでしょうか?


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司法書士法人相澤法務事務所

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代表司法書士 相澤 剛

自己破産の条件は?

基本的な条件となるのはたったひとつ、支払不能に陥っているということです。
文字通り支払いが出来ない状態のことを指しますが、これは自分で「払えないような気がする」と主観的に思っている状態のことを言うわけではありません。
資産調査などを行い、客観的に支払いが出来ないということが評価されることが必要となります。

「支払不能に陥っている」とはどんな状態?

自己破産の条件となっている「支払不能に陥る」という状態。
これはあくまでも客観的な評価によって決まるものですが、一体どのような条件のときにそうだと判断されるのでしょうか?
倒産法の規定では「債務者が支払い能力を欠くために、その債務のうち、弁済期にあるもにつき、一般的かつ継続的に弁済することが出来ない状態」とされています。
それぞれ具体的に確認すると、下記のような形になります。

1)支払い能力を欠く

返済すべき借金の金額と収入を比較して返済を継続することが出来ず、処分出来る財産もないという条件が揃うと「支払い能力を欠く状態」と評価されます。
預貯金がなく、月々の収入も足りないため現金での支払いは出来ないけれど、家、土地、車、貴金属、株券等現金に換金することの出来る財産が一定以上ある場合には支払い能力に欠けるとはいえず、自己破産も認められません。

2)弁済期にあるもの

弁済期とは、返済を履行すべき期日のことを言います。
例えば「〇月×日に4万の借金を返済する」という契約になっていた場合、この「〇月×日」が来ていない場合には債務者は債務を履行する必要がありません。
履行期が来ていない借金については支払う必要がないため、自己破産が認められる要件からも外れることになります。
返済期日を過ぎても支払えないことが「支払不能」の要件に当てはまるのです。

3)一般的かつ継続的に弁済することが出来ない

支払いが不可能な状態が一時的な場合は自己破産の要件を満たすことはありません。
この先も継続して支払うことが出来ない、ということが債務調査などにより客観的に判断された場合、初めて支払不能の状態にあると言うことが出来ます。

「今は支払いが出来ないけれど数日後には給料日となるため支払いが可能になる」「今月は支払いが出来ないが来月以降は引き続き支払いが可能である」など、支払可能な期日が比較的はっきりとわかっている場合は自己破産の要件を満たしません。

支払不能の要件は他にもある

上記のような状態が「支払不能に陥っている」と言える条件になりますが、実は「支払不能」と判断される条件には、次のような考え方もあります。

現在の借金の元金を3年で完済出来ないこと

引直計算も含め、様々な手を尽くしてシミュレーションしたとしても元金を3年間で完済することが出来ない場合には「支払不能」とみなされて自己破産の要件を満たすという考え方もあります。

なお、もしも債務の引直計算を行い、利息をなくして元金のみにした場合に3年で完済出来ると判断される場合には、任意整理や個人再生などの自己破産以外の債務整理を選択することになります。
ちなみに、任意整理と個人再生は下記のような債務整理です。

任意整理:簡易的な手続をとることで利用可能な債務整理。
利息をなくし、元金だけを3~5年で分割払いすることで返済の負担額を減らし、債権者にとっても元金だけは取り返すことが出来るという利点があるため、両者の落とし所を見つけることが出来る債務整理の方法でもあります。
また、それぞれの貸金業者と個別に交渉を行うため、任意整理を行う会社を絞ることが可能です。
そのため利率が低いために任意整理の利点がない会社や、任意整理を持ちかけることで債務者に大きな不利益が出る会社を避けて交渉することが出来ます。

個人再生:裁判所によって選任された弁護士等の再生委員が、借金の元本そのものを大きく減額した再生計画を立てて分割払いを行えるという債務整理方法。
借金の元本が減るため支払いの負担額は大きく減り、自己破産のような職業制限や不可事由がないということも大きな利点です。
また、自己破産の場合には住宅が担保に入っている住宅ローンに関しては担保を引き上げられる=住宅を失うという大きなデメリットがありますが、個人再生には住宅ローンの特別条項があるため住宅ローンだけは引き続き支払いを続けることが出来るなどのメリットもあり、生活再建の大きな手助けとなります。

財産がないこと

売却すると完済出来そうなほどの財産があるとみなされる場合、支払不能とはみなされません。
財産がある場合には売却出来る財産を全て処分し、借金の返済に充てるということが求められます。

借金の額が一定の金額を超えていること

借金が月収の20倍を超えている場合や「手取り-居住費用」の3分の1を超える返済額の場合には支払不能と判断される考え方もあります。

「月収の20倍を超えている」というのは、例えば月収が20万円の場合は借金の金額が400万円を超えている場合に該当します。

また「手取り-居住費用の3分の1を超える返済額」というのは、手取りの給与金額が19万円、家賃が7万円の場合には19万円-7万円=12万円、その3分の1なので12万円÷3=4万円で、毎月の返済額が4万円を超えている場合に該当することになります。

▼ただし、いずれの場合についても「自己破産が認められる可能性が高い」というだけなので、場合によっては認められないこともあることに注意しましょう。

一定の事由により免責が下りない場合とは?

破産手続開始決定を経ても、一定の理由で原則として免責が下りない場合があります。
自己破産を躊躇ってしまう場合とはどのようなものがあるのでしょうか?

免責不許可事由に該当してしまっている

免責不許可というのは、自己破産の手続を進めることは可能だけれど免責されないために結局支払義務は継続される上に自己破産によるデメリットは全て被らなければならないということです。

免責不許可事由の例としては下記のようなものがあります。

・ギャンブルや浪費が借金の主な原因である場合

支払不能に陥った原因のほとんどがギャンブルのためという場合には免責不許可事由に該当します。
ギャンブルだけでなく浪費も当然免責不許可事由に該当しますし、株やFXなどもギャンブルとして捉えられます。

・財産隠し、損壊、不利益処分をした場合

財産隠しは文字通り、財産を見つからないように隠して処分させないようにすることを言います。
損壊というのは、財産の価値をなくして回収されないようにしてしまうということ、不利益処分というのは低額で売却や贈与を行うことを指しています。
名義を別の人に変えて自分のものではないと言うことで回収されることを避けようとする行為も財産隠しに該当します。
不利益処分の例としては、本来は100万円で売却出来るものを知り合いに10万円など自分が極端に不利益を得るような状態で売却し、ほとぼりが冷めた頃にもう一度買い戻すといったケースが該当します。
いずれの場合も債権者に不利益を与える行為にあたるため、免責不許可事由とされているのです。

・裁判所や破産管財人が行う調査に協力しなかった場合

裁判所に求められた書類を出さない、裁判所からの呼び出しに応じない、債権者名簿に載せなかった債権者がいる、帳簿や書類に嘘を書いていたなど、自己破産のための調査に協力的でない場合には裁判官の裁量で免責不許可となることがあり得ます。

・過去7年以内に免責を受けている場合

前回の破産免責許可決定確定から7年以内に再び自己破産を行おうとしても、免責不許可となってしまい免責を受けることが出来ません。

・ショッピング枠の現金化

キャッシングを使えない人がショッピング枠を悪用して金券を購入し、換金する行為というのは詐欺的な行為だとみなされて免責不許可事由に該当します。
これは、本来の目的とは異なる、経済的合理性を欠く破産手続を遅延させる目的(実際に換金が目的での購入であったのか、そうではなかったのかの調査に時間がかかるため)であると判断されるためです。
こういった行為は債権者にも不利益を与えるため、問題があるとみなされています。

・詐欺的な借入

返せる見込みもないのに嘘をついて借りるという行為は詐欺的だと判断され、免責不許可となってしまいます。
例えば破産申立の1年以内くらいに借入を行った際に、偽の身分証や収入証明などを提出することによって借入を行い、すぐに自己破産申立を行うことで意図的に返済せずに済むようにしようとする行為は詐欺的と捉えられ、免責不許可事由に該当します。

これらの場合には、自己破産を選ぶことはかえって不利になる可能性が高いためおすすめ出来ません。

また、上記に該当したとしても「裁量免責」というものがあります。
裁判所の求めに真摯に応じ、自己破産の調査に協力的であるという様子を見せることが出来れば免責される可能性は高まります。
ただし、免責不許可事由に該当しない場合よりも条件的には厳しくなるという点に関しては承知しておく必要があります。

職業制限に該当してしまう

自己破産をしたとしても、基本的にはそれを理由に解雇されることはありません。
むしろ自己破産したことを理由に退職を迫ることは違法となるため、企業はそのような行為をしてはいけないことになっています。

しかし、一部の職業は破産の申立から免責確定までの間、職業制限という形で該当する職業に就くことが不可能となります。

職業制限を受ける職業の例としては下記のようなものが上げられます。

・士業

弁護士、司法書士、行政書士、宅建士、土地家屋調査士、公認会計士、などの士業に該当する職業の場合にはほとんどが職業制限を受けることになります。

・生命保険募集員、証券外務員、損害保険の代理店員、登録貸金業者などの金銭を扱う職業である場合。

・警備員

・公証人、遺言執行者、後見人、後見監督人、補佐人などの他人の金銭に責任を持つ必要のある職業である場合

・旅行業取扱の登録者や管理者

・調教師や騎手

・合名・合資会社・合同会社の社員(退社事由)

上記以外にも職業制限に該当する場合があるため、自己破産を考えている場合はまずは専門家に相談するようにしましょう。

非常に大雑把な区分けにはなってしまいましたが、金銭の絡む職業や役割にあたる場合は職業制限を受ける可能性があると考え、法律に規定される職業に該当するかどうか確認すると間違いないかもしれません。

職業制限を受けている間は、当然ですがその職業での就業が不可能となるため、必然的に収入がなくなってしまうことになります。
免責許可決定確定までの期間が短ければ影響は少ないかもしれませんが、数ヶ月に及ぶことも想定して可能性としてはゼロではありません。
ですから、職業制限に該当する職業に就いている場合には慎重に考える必要があります。

ちなみに、職業制限に該当しそうなイメージがありながらも影響を受けない職業には、公務員、医師、看護師、薬剤師等があります。

■おわりに

自己破産とは、債権者に対して不利益を与える行為です。
本来は得られるはずだった利益が得られなくなるだけでなく、貸し付けした元本すら返って来なくなってしまうという行為であるからです。
そのため、どうしても条件は厳しくなってきます。
それでも生活再建のためにはやむを得ないという場合もあると思います。
人生を破綻させてまで借金の返済を続けなければならないということも、同じようにありません。
相手に不利益を与えてしまうのだということは胸において、自己破産の手続に真摯に応じることで誠意を見せるようにしましょう。