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自己破産はいくらから出来る?

2020年2月5日 公開 更新

自分の収入や財産で債務を支払うことが出来なくなった場合に、自分の持っている全財産をお金に換えて各債権者に分配、清算して生活を立て直すのが『自己破産』です。

生活すら崩壊してしまいそうなときに債務の支払いがなくなれば一時的な安定は得られるものの、その分リスクを負うことにもなってしまう。

そういう性質のものだからこそ、自己破産が認められるためには様々な要件が定められています。


司法書士法人相澤法務事務所は2009年東京都板橋区にて開業2019年で10周年を迎える。
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司法書士法人相澤法務事務所

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代表司法書士 相澤 剛

自己破産に制限金額はあるのか?

単刀直入に言ってしまうと、制限金額はありません。

何万円から可能、いくらからなら認められる、といった基準は定められていないのです。

極端な話をすれば1万円でも自己破産をすることは可能です(この金額で自己破産の要件を満たす人は稀有と思われますし、主観的にもこの金額で自己破産をしようと思う人はまずいないと思いますが……)
なぜ金額の制限がないのかというと、同じ額の借金であっても収入が違えばその負担割合も違ってくるからです。

例えば、同じ500万円の借金でも、年収が1,000万の人と200万の人とでは返済にかかる苦労が大きく異なります。
前者にとっては無理なく返せる金額でも、後者にとっては生活費を削ってでも返済しなければならなくなってしまうでしょう。

このように借金の負担というのはそれぞれの生活状況によって異なるため、いくらからなら自己破産が可能、という基準を決めることが出来ないのです。

自己破産が可能になる条件は?

自己破産が可能となるのは「支払不能」の状態に陥った場合です。

支払不能とは?

文字通り「払えない」状態のことを指します。
これは主観的に払えないという状態を指すのではなく、資産調査などを行い客観的に評価されます。

倒産法によると「債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち、弁済期にあるもにつき、一般的かつ継続的に弁済することが出来ない状態」と規定されています。

この文章だけではわかりにくいため、それぞれの条件をもう少し細かく基準を見ていきます。
大きくわけると3つあります。

1)支払能力を欠く

これは返済を出来る見込みがないことをいいます。
返済すべき借金の金額と比較して収入が少ないこと。
また、処分出来る財産もないこと。
これらの条件がそろったときに「支払能力を欠く状態」と言うことが出来ます。
たとえば預貯金がなくなり、月々の収入も足りないため現金だけで考えると支払いが不可能という場合でも、家や土地、車、貴金属、株券ほか、現金に換えることが出来るものが一定以上ある場合には支払能力がないとは言えず、自己破産も認められないことがほとんどです。

2)弁済期にあるもの

弁済期とは返済を履行すべき期日のことを言います。
例えば「1ヶ月後に6万の借金を返済する」という契約になっていた場合、この「1ヶ月後」の期日が来ていない場合には債務者は債務を履行する必要がありません。
そして、履行期が来ていない借金が支払えない場合には、自己破産が認められる要件からもはずれることになります。
返済期日を過ぎても支払えないという場合が「支払不能」の要件に当てはまるのです。

3)一般的かつ継続的に弁済することが出来ない

一時的に支払いが不可能なわけではなく、この先も継続して支払うことが出来ないと債務調査の結果などにより客観的に判断される場合には支払不能の状態にあると判断されます。
たとえば「数日後には支払うことが可能である」「今月だけは支払いが難しいが来月になればまとめて支払うことが出来る」など、明確に支払い可能になる状況が見えている場合には支払不能とは判定されることは多くないでしょう。
また、これは特定の債務にのみ適用されるわけではなく、全ての債務を履行することが出来ないという場合に該当することとなります。

支払不能というのはいくらから?

支払いが出来ないという状態を判断することに関しても、いくらからという決まった金額はありません。
これは自己破産が可能になる金額の場合と同じですが、債務者によって収入が異なるため、支払不能になる金額もまちまちであるためです。

たとえば1000万円の年収があったとしても、借金の総額が5000万円であれば早い段階で支払不能になる可能性があります。

逆に200万円の年収だとしても、借金の総額が10万円であれば支払不能に陥らずに完済することが出来るかもしれません。

このように、判断基準が個々人で異なるため、明確に「〇万円から」と確定することは出来ません。

しかし、一般的には下記の基準があります。

借金が月収の20倍を超えている場合

例えば月収が30万円の場合、借金が600万円を超えていると支払不能に陥ると判断される可能性が高くなります。

「手取り収入-住居費用」の3分の1を超える返済額の場合

例えば手取りが30万円、家賃が9万円の場合は、30万円-9万円÷3=7万円となり、毎月の返済額が7万円を超えている場合には支払不能に陥ると判断される可能性が高くなります。
この場合、手取額が大きくなると必然的に該当額も高くなるため、当てはまる確率が低くなります。

▼上記基準はあくまでも目安であるため、上記基準を満たせば、「絶対に認められる」というものではないことに注意が必要です。

自己破産が出来ない場合はどうすればいい?

支払不能の状態だと判断されない場合、自己破産をすることは認められません。

また、別の事情により自己破産をすることが出来ない場合もあるかもしれません。

例えば、自己破産をするためには財産処分を行う必要があります。
これは、一定の基準を満たさない財産や現金を除いて全ての財産を処分して現金化し、債権者に分配するためです。
その際、資産価値のあるものは全て回収されるため、車や土地家屋なども手放すことになります。
もしもどうしても車が必要だとか家を離れるわけにはいかないという場合には自己破産を避ける必要が出てきます。

また、自己破産を行うと職業制限が発生します。
一般的な職業においては自己破産が解雇の理由となることはありません。
しかし、警備員、保険募集員、宅地建物取引士、証券外務員、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士等は職業制限が発生し、こういった職業に就いている場合は破産の申立から免責確定までの間仕事をすることが出来ません。
それは不可能であるという場合にも、自己破産は選択出来ません。

これらの条件がある場合には、別の債務整理を選択する必要があります。

個人再生を行う

個人再生とは、裁判所が選任した弁護士等が、借金の元本そのものを大きく減額した再生計画を立てることで分割払いする方法のことです。
再生債権総額にもよりますが借金そのものが1/5に減縮(8割程度カット)されるため支払いの負担額は大きく減り、自己破産のような職業制限や免責不許可事由がないということも大きな利点です。
また住宅ローンの特別条項等もあり、生活再建の大きな手助けとなります。

自己破産の場合には「免責不許可事由」というものがありますが、個人再生には免責不許可事由もありません。
また、職業制限も発生しないのでいずれの職業においても就業を続けることが可能です。

ただし、自己破産を検討する場合と同じような要件があります。

自己破産よりは若干条件は和らぐものの、支払不能となる可能性があることや将来的に安定して継続した収入が必要であることなどの要件があります。

自己破産が要件を満たせずに実行出来ない場合は個人再生も同様に不可となる可能性が高く、結果的に行えない場合も多くあります。

任意整理を行う

任意整理とは、簡易的な手続での利用が可能です。
基本的に個々の貸金業者それぞれとの交渉となるため、任意整理を行う会社を選択し、利点がない会社や任意整理を持ちかけることで債務者に大きな不利益が出る会社を避けて交渉することが出来ます。
利息をなくし、元金だけを分割払いすることが出来るため、返済の負担額を減らす手助けになります。
こちらは基本的には要件はありません。
ただし、支払いを開始してからごく短期であるとか、債権者たる貸金業者が交渉に応じてくれないとか、一定の条件で認められないこともあります。
また、交渉に応じてくれる会社であったとしても、基本的には貸金業者に不利益となるため、支払いが厳しいなどの事情が認められない場合には交渉に応じてもらえないこともあります。

他の債務整理の種類として「特定調停」もあります。
これは、任意整理に類似したものを裁判所で行うもののことをいいますが、調停が成立すると確定判決と同一の効力を有するため、万一支払いが滞ってしまうと即座に口座を凍結されたり給料の差し押さえをされたりということが起こってしまいます。
これは債務者にとって非常に不利なため、弁護士や司法書士が勧めることはほとんどありません。

過払い金はいくらから取り返せる?

借入れを行っている場合、過払い金が発生している可能性があります。
支払いがいつまでも終わらず、借金を返済することが出来ないので自己破産をしたい……となった場合でも、借入額の引き直しを行うと過払い金が発生していたため、既に借金を返済し終えていてむしろお金が返ってくるということもあり得ます。
この金額は、いくら以上でなければならないなどの決まりはありません。

ただし、全ての借金で過払い金が発生しているわけではありません。
過払い金がある可能性があるのは下記の要件を満たしている場合です。

消費者金融、または信販会社からのキャッシングでの借入がある場合

過払い金は法定金利よりも高い金利で借り入れしていた場合に発生します。
これは、消費者金融や信販会社のキャッシングでの借金がある場合に可能性があり、銀行やショッピングリボは金利が低いため発生しません。

法定利率を超えた取引である場合

2007年以前からの借入である場合、過払い金が発生している可能性があります。

ほとんどの会社が2007年中には、10万円以上100万円未満の元金につき、利息制限法に定められた18%という利率に改定していますが、実はこの利息制限法は罰則がありません。
対して、これ以上の利率で貸し付けを行ってはいけない、という罰則規定のある「出資法」ではその利率が29.2%以下と定められています。
そしてかつては出資法に引っかからない範囲の高利で貸し付けを行っている貸金業者は多くありました。

この18%から29.2%までの間の金利を「グレーゾーン金利」と呼びますが、このグレーゾーン金利に該当する借入の場合には過払い金が発生し、取り戻せる場合もあります。

完済から10年以内の借金の場合

既に完済している借金であったとしても、これにも過払い金が発生している可能性があります。
引き直し計算を行った後、過払い金があれば回収することも可能です。

ただし、完済から10年で過払い金の返却の時効が来てしまいます。
そのため、可能性があると感じた場合にはできるだけ早く引き直し計算を行わなければなりません。

いずれの場合でも、もしも過払い金を回収することが出来れば、そのお金を別の借金の返済に充てることにより自己破産する必要がなくなるということもあり得ます。
自己破産を検討する際、専門家に相談すれば必ず引き直し計算の必要の有無を確認されますが、完済している借金に関しては見落としてしまう可能性があります。
自分がどれだけの借入を行っていたか、しっかりと把握するようにしましょう。

おわりに

自己破産を検討するのは本当に追い詰められ、これ以外に方法がないということがほとんどでしょう。
だからこそ、いくらから可能なのかと気にすることも多いかと思います。

結論から言えば、金額の制限はありません。
ですが、見直しを行ってみると自己破産の必要がないという可能性もゼロではありません。

過払い金の件も含め、債務整理を検討する場合にはまずは専門家の意見を聞き、それが自分の生活にとって利点の方が多いのか欠点の方が多いのか、あるいは建て直しの方法はあるのかないのか、じっくりと検討するようにしましょう。
案外自己破産を選択することなく、生活を継続することが出来るかもしれません。

どれくらい戻ってくるのか?