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【任意整理と自己破産】どちらを選ぶ? メリット・デメリットを比較

任意整理と自己破産はいずれも生活再建のための有効な手段ですが、本人に合うほうを選ばないと後悔するかもしれません。
月々の収入、毎月の固定費、債務総額などから、本人に合うかどうかを専門家が判断します。
まずは、任意整理と自己破産の違いを明確にしておきましょう。
正しい情報をえることで、自分にとってもどちらがふさわしいか判断の目安になります。
任意整理と自己破産、どちらを選ぶべきか迷ったら、以下の比較情報を参考にしてください。

何が違う? 任意整理と自己破産

任意整理と自己破産は、いずれも債務整理と呼ばれる法的手段の一種です。
債務整理は全部で4種類あり、債務の減少額や手続き方法などさまざまな違いがあります。

そもそも債務整理とは?

それぞれの特徴を簡潔に明記します。

種類 特徴
任意整理 裁判を通さない債務整理。業者との交渉で利息をカットする
特定調停 任意整理を裁判所の仲介でする方法。
個人再生 裁判所の判断で債務額の8割が免除される。
自己破産 裁判所に破産開始・免責許可の申立てを行い、免責許可が下りると債務のすべては免除される。

これらのうち、スタンダードな方法が任意整理と自己破産です。

結果・手続き期間・専門家の違い

結果や期間などから、任意整理と自己破産の違いをみてみましょう。

債務額はどうなる?

任意整理は債務が残りますが、自己破産は残りません。
任意整理で減額されるのは、利息のみです。
利息もすべてがカットされるとは限らず、一部支払いが残るケースもあります。
自己破産の支払い免除対象は、金融機関からの借り入れはもちろん、私人間の借金や賃貸マンションの未納までも含みます。
すべての借金から解放される一方、処分できる財産はすべて明け渡し、債権者に分配しなければなりません。

期間の違いは?

任意整理は自己破産より短い期間で手続きを終えられます。
任意整理の手続き期間は、2ヶ月~半年程度。
この間に依頼者は事務所へ支払うための費用を積み立てるわけですが、積立が終わると交渉も進み、すぐに和解となります。
自己破産は「同時廃止」と「管財事件」で手続き期間が異なり、財産調査を必要とする後者のほうが多くの時間を要します。
同時廃止で4ヶ月~半年くらい、管財事件で8ヶ月くらいです。

依頼する専門家は?

任意整理に関していえば、弁護士・司法書士いずれにも依頼できます。
司法書士だと1社140万円以下の債権案件のみ代理可能。
自己破産も、相談や書類作成までは司法書士で担当できますが、裁判がからむ業務は弁護士の専権事項です。
自己破産手続きで裁判官との面会、債権者集会の同席、書類提出などを専門家に頼みたいときは、弁護士に相談してください。

ブラックリスト登録期間は?

ブラックリストの登録期間は、どちらも基本は5年間です。
ただし、自己破産など官報記載の情報は、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の登録期間が最長10年間となっており、ほかの機関より長めです。
銀行を相手とする債務支払いを免除した場合は、ブラックリスト登録期間が長引くと思ってください。

任意整理のメリット・デメリット

任意整理により、楽になる面もあれば苦労する面もあります。
メリット・デメリット双方を理解したうえで手続きを進めてもらいましょう。

任意整理のメリット

利息をカットできる

任意整理のもっとも大きなメリットは、利息のカットにより借金総額を減らせることです。
現行法では、クレジットカード・カードローンの金利は年18%まで請求してよいことになっています。
うまくいけばそれが丸ごと免除されるわけですから、心理的にもかなり楽になるでしょう。
借金総額を大幅に減額できれば、完済の見通しもつき、希望をもって生活できます。

職業資格制限などはない

任意整理の手続き中、職業・資格制限などは一切ありません。
仕事への影響もなく、普段通りの生活を送れます。
これが自己破産だと手続き期間中は多くの資格・職業制限がかかり、人によっては不便を被ります。

集める書類が少ない

自己破産と比べ、必要書類の点数が少ないのもメリット。
自己破産では源泉徴収票や給与明細、資産目録などの提出を求められますが、任意整理は基本的に自己申告で済みます。
裁判を通さない任意手続きのため、それほど厳格ではないわけです。

家族にバレにくい

任意整理では世帯収入や財産などの調べもないため、家族にバレる心配がほとんどありません。
弁護士・司法書士に依頼すれば、後は事務所が窓口になって業者とやりとりしてくれます。
業者から自宅に電話が来ることもありませんし、書類などの郵便物も届きません。
弁護士・司法書士も守秘義務の関係上、情報を漏らすことはないので安心してください。

任意整理のデメリット

自己破産にない任意整理のデメリットは、元本が残ってしまうことです。
利息カットは確かにメリットですが、元本が残る以上は3~5年の間、返済生活が続き、その間は欲しいものがあっても我慢しなければならないかもしれません。
収入の一部は返済に回す必要があり、貯金も難しくなるでしょう。
自己破産よりは辛抱が求められる、といえます。
また、業者によっては「経過利息」の支払いを要求されることも。
経過利息とは、受任通知してから和解するまでの利息です。
つまり交渉期間に付いた利息のみ、元本と一緒に返還するというものです。
その代わり、将来利息は免除してもらえます。
経過利息を支払わなければ和解しないとする業者も多いため、依頼者によってはこのあたりも負担かもしれません。

自己破産のメリット・デメリット

どうシミュレーションしても完済は無理。
こんな判断を下されれば自己破産しかありません。
破産が生活に与える影響は決して小さくありませんが、あまりネガティブに捉えすぎるのも禁物です。
破産後に人生を立て直した方はたくさんいますので、気を落とさず前向きに生きてください。

自己破産のメリット

借金がすべてなくなる

免責が下りれば、すべての債務支払いは免除されます。
債務の範囲は消費者金融や銀行といった金融機関だけでなく、個人間の借り入れ、会社からの借金、家賃の滞納なども含まれます。
借金を気にせず再スタートを切れるところが自己破産の最大のメリットといえるでしょう。

好きなことにお金を使える

すべての借金から解放されるため、給料も基本的には好きなことに使えます。
お金の使い道が自由になれば、ショッピングや趣味、旅行なども楽しめるようになり、充実したプライベートにつながります。

貯金がしやすくなる

任意整理では難しい貯金も、自己破産だとそう難しくありません。
任意整理では毎月3~5万の返済が必要になります。
自己破産でその分を貯金に回せば、半年で18~30万円の貯金ができる計算です。
ブラックリストに載れば当分の間はクレジットカード、カードローンの利用ができません。
急な入り用に迫られたときも、口座から引き出して急場をしのげるのです。
友達から借金をする必要もなく、健全にお金を使えるところも大きなメリットでしょう。

早期の生活再建に期待がもてる

自己破産では、免責決定が下りた時点で生活再建のスタートを切れます。
一方、任意整理ではまず残債の完済が優先事項であり、本格的な建て直しはそれが終わってからです。
この差は小さくありません。
任意整理で借金総額を減額できるのは大きなメリットですが、毎月の返済をきちんとこなさないと失敗をみます。
そうなると生活再建は遠のくばかりです。
借金が残らない以上、自己破産に失敗という概念は存在しないといってよく、仕事をしてお金を貯めれば生活が苦しくなることもないでしょう。

自己破産のデメリット

大がかりになる管財事件にはデメリットが多い

自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、財産をもつ場合は管財事件での破産手続きとなります。
同時廃止と比べ、管財事件は3ヶ月ほど手続き期間が長く、費用も30万円ほど高めです。
裁判官や債権者との面談もあり、より拘束されるのが管財事件の特徴。
同時廃止か管財事件かは本人に選ぶ権利がなく、裁判所が財産の有無などをみて決定します。

資格・職業制限がある

破産手続きの開始から破産決定までの期間は、職業制限がかかります。
士業や金融関係、警備員などの資格は一旦無効となり、それらの職業の人は半年程度自由に働けなくなるのです。
該当者はその間、収入の当てがなくなってしまうかもしれません。

家族に秘密は難しい

本人名義の家に家族が住んでいたり、世帯収入があったりすれば、自己破産を秘密にしておくことは非常に困難です。
財産や収入に関する情報はすべて調査の対象となるからです。
隠そうと思ってもおそらく無理なので、調査が入る前に誠意をもって説明することをおすすめします。

集める書類が多い

自己破産は裁判を通して行われる手続きのため、集める書類も多くなります。
収入証明書や資産状況も、公的書類をそろえる必要があり、自己申告でもよい任意整理と比べたら大きな労力と手間がかかるでしょう。
資産漏れなどがあると免責許可事由に相当し、さらに時間がかかることも。
必要な書類については、弁護士からしっかりレクチャーを受けるようにしてください。

官報に載り、ヤミ金に勧誘されるリスク

破産情報は官報に掲載されます。
官報とはいわば裁判所が発行する新聞のようなもので、一般公開されているため誰でもみることができます。
一部の業者が参考にするのみでそう大きな影響はないと思われがちですが、ヤミ金にチェックされるリスクには注意が必要です。
破産者は正規の借り入れができませんから、そうした弱みにつけ込んでくるのが彼らの手口です。
ヤミ金からDMが届いても絶対に相手にしないでください。

これは勘違い! 自己破産デメリット

勝手な思い込みや勘違いから、自己破産のデメリット情報を誤解している方もいます。
具体的には次のような誤情報です。

・ 選挙権をはく奪される
・ 破産者名簿に載る(そのような名簿はない)
・ 関係ない家族の財産まで差し押さえられる
・ 破産を理由に解雇される(金融機関などはその可能性も)

このような誤解をすることなく、正しい情報を集めましょう。

任意整理のはずが自己破産に?

それぞれのメリット・デメリットが分かっていても、「どちらがいいんだろう・・・」と悩んでしまうのが債務整理。
依頼者のなかには、客観的なデータより気持ちを優先して選んだ結果、「失敗に終わる」方もいます。
失敗とは、「任意整理で完済する予定だったのに、結局破産した」というケース。
具体的にどういう失敗があるのか、Aさんの事例をもとにみていきましょう。

任意整理を選ぶも半年でギブアップ

結果的にAさんは半年足らずで限界をさとり、自己破産することになりました。
本人が任意整理にこだわった理由は、「借りたものは返すのが当たり前だから」。
この心がけは立派ですが、それだけでは1000万円もの借金は返せないでしょう。
「任意整理か自己破産か、実際に試してみないと分からない」というAさんのようなケースも存在するわけです。
Aさんはその後、書類作成のみ司法書士に任せて自身で破産手続きを申立てる「本人申立て」を利用、最終的に免責許可の決定が下されました。
ちなみに、高価なブランド品など債権者に分配できる財産がある場合、少額管財扱いとなります。

本人申立て・管財事件の手続きの流れ

管財事件の手続きは、「弁護士依頼」か「本人申立て」かで若干異なります。
ここでは、司法書士に書類作成を任せ、裁判官や債権者との面談は自分で行う本人申立てによる手続きの流れをご紹介します。

1.債権・財産調査

すべての借金と財産を調べるわけですが、この調査は司法書士でも担当できます。
金融機関から借りたものはもちろん、各種ローンや親族・知人からの借り入れ、携帯や家賃の滞納など、すべての借金が調査対象です。
資産も現金や預貯金、住居や車などの財産、高級製品、有価証券、生命保険、退職金など、幅広い範囲で調査されます。
いうまでもなく、本人も正直に申告して協力しなければなりません。

2.破産手続き開始の申立て

作成した申立て書を裁判所に提出し、破産手続き開始の申立てをします。
なお、本人申立ての場合、即日面接は行われません。

3.債務者審尋

自己破産の申立て後、破産開始手続き決定前に、債務者審尋が行われる場合もあります。
債務者審尋とは、破産手続きが開始される前の段階で行われる、本人と裁判官による面談です。
債務者は裁判官から受ける事情聴取で、破産にいたった経緯を詳しく申告しなければなりません。
債務者審尋は1回で済む場合もあれば、2回行われることもあります。
本人申立ての場合は、ひとりで裁判所に出頭することになります。

4.破産手続き開始決定

裁判所の事情聴取によって破産理由が明らかになった後、破産手続きの開始となります。
同時廃止か管財事件かが決まるのは、このタイミングです。
破産手続き開始と同時に、資格・職業制限などがかかります。
管財事件扱いになった債務者はその後、破産管財人による調査・面接を受ける流れです。

5.破産管財人との面接

破産管財人の指名を受けた弁護士事務所に本人が足を運び、財産や債務に関するヒアリングを受けます。
管財人によっては、宿題として家計簿の提出を求めることがあります。
なお、管財事件では破産管財人に支払う報酬として予納金が必要です。
東京地方裁判所の場合、予納金は一般的に50万円です。

6.債権者集会

債権者集会とは、裁判官や破産管理人同席のもと、債権者から意見を聴く集会です。
破産内容や財産の換価処分について、債権者から異議申立てがなければ、短時間で終了します。
とくに問題がない場合は、この段階で破産手続きの終結となります。

7.免責審尋

免責許可の判断が下りる前に、もう一度裁判官と面談する「免責審尋」があります。
免責許可を出してよいかを最終確認するのが目的です。

8.免責許可決定

免責審尋が終わって1週間後くらいに、裁判所による免責の判断が下されます。
ここで免責許可が下りれば、自己破産決定です。
かりに免責不許可となっても異議を出せます。
異議を申立てる相手は上級裁判所です。
なお、個人再生など別の債務整理への切り替えも可能です。

任意整理と自己破産。こんな場合はどちらを選ぶ?

任意整理と自己破産、どの方法が適切かは本人の債務状況と年収などをもとに判断します。
賃貸マンション住まいであれば、賃料も大きなポイント。
月収や返済額など、具体的に想定して考えてみましょう。

任意整理がふさわしいケース

この場合、マンション住まいではないため賃料を計算する必要はありません。
150万円を3年間36回払いで計算すると、毎月4万2千円払っていけば完済できる見込みです。
パート収入10万円を考えれば、毎月4万円程度の返済は難しくないでしょう。
そのため、この主婦のケースでは任意整理が妥当と判断できます。

【ポイント】
・毎月一定の収入がある
・家賃など大きな支払いがない

任意整理のプラス面

まず、家族に漏れることなく整理を進めることができます。
大がかりな調査が必要となる自己破産だと、家族に内緒のまま手続きをするのは困難です。
自己破産でも隠し通せないことはないのですが、宅配物ひとつにも神経を使うことになり、与えるストレスも小さくないでしょう。
元本返済だけでも完済すれば、一定の責任を果たしたことになり、業者にかける迷惑も最小限で済みます。

注意点は?

任意整理を選んだら、3年間はとりあえず返済に集中することです。
借金総額は減ったからといって、決して安心はできません。
上記の失敗例は、「無理をして任意整理を選んだ」ケースでしたが、「気がゆるんで散財し、結局破産する」例もあります。
出費などの自己管理ができるかも、成功のポイントです。

自己破産がふさわしいケース

毎月手取り25万円の収入がある男性会社員の場合、ふさわしいのはどちらでしょうか?
家賃8万円のマンションにひとり暮らし。
全部で5社との取引があり、債務総額は300万円。
この場合ではまず、月収と家賃のバランスをみること。
そのうえで、月額の返済可能額に収まるかどかをみていきます。
一般的には次の公式が用いられます。

上の公式にあてはめると、(25万円-8万円)÷3=約5万6千円。
3年間の完済を目指す場合、5万6千×36=2,016,000円。
債務額300万円には遠く及びません。
そのためこの方の場合は、「自己破産が妥当」という判断が下されるでしょう。

【ポイント】
・マンション住まいの場合、月収に占める賃料の割合をみる
・3年完済で月々の返済額がどれくらいかをチェック

自己破産のプラス面

この方の生活ベースで任意整理を選ぶと、かなり無理をしなければなりません。
そのような場合は無理をせず、自己破産を選ぶのがベストです。
すべての債務が帳消しになるため、破産決定の段階で心機一転、新しいスタートを切れます。
クレジットカード・カードローンは強制的に利用ストップがかかるため、借金生活に戻る心配もありません。
また、お金も貯めやすくなります。
返済中は絶対に無理だった貯金ができることで、生活に余裕が生まれ、新しいことへのチャレンジも比較的容易になるでしょう。

注意点は?

集める書類が多いため、書類集めに忙殺されることも。
収入証明も、給与明細や源泉徴収票など公的な書類しか認められません。
資産があれば、資産目録やそれに関連する証明書類が必須です。
保険金の払戻金が20万円以上あれば、返戻金証明書類も不可欠。
自己破産の書類集めは根気がいる作業と思ってください。
また、家賃の滞納があった場合は注意が必要です。
契約書に「家賃を○○ヶ月以上滞納すれば退去勧告」など書かれていればしたがうしかありません。
すぐに退去にはなることはないでしょうが、次の契約更新は難しいでしょう。
残念ながら、自己破産において家賃滞納のみの免除は認められません。
回避策としては、はやめに大家さんに事情を話し、破産決定後に滞納分を支払う旨を伝える、という方法があります。
破産手続きが終わった後のことに裁判所も関与できないため、個人間の返済であれば問題ありません。
大家さんの承諾を得られれば、その後もマンション生活を守れるでしょう。
友人や会社からの借金も同様の方法で解決できます。

任意整理と自己破産。選ぶ基準は?

第一に資力や返済能力ですが、それだけが債務整理の方法を選ぶ基準ではありません。
そのほかのみるべき要素には、「返済状況」「業者のスタンス」「免責不許可事由」「財産処分の可否」などがあります。

返済能力と返済状況

まずは仕事をしているか? 基本的な収入がないと任意整理はかなり厳しくなります。
会社員かアルバイトか、毎月どれくらい月収があるかも大切なポイントです。
ちなみに、ボーナスはあまり重視されません。
臨時収入は安定性に欠けるため、あくまで毎月の収入をベースにみます。
年齢も重要で、定年退職者だと任意整理のハードルも必然的に上がります。
このように、月収・職業・雇用形態・年齢など、さまざまな要素から返済能力を判断します。
また、これまでどのような返済をしてきたかも判断の目安です。
過去に何度も滞納歴があると、利息をカットして組み直したとしても同じ過ちを繰り返す恐れがあるからです。
滞納や延滞をたびたび繰り返す人に対しては、業者も厳しい態度をとります。
「事情がある」「勘違い」「滞納してもそのときの1回だけ」
これらのケースは大目にみてもらえますが、常習犯だと任意整理に応じてくれない場合もあり、弁護士・司法書士の交渉にも影響します。
滞納歴がある場合は、まずはその旨を事務所に伝えて相談しましょう。

業者の方針で任意整理に応じない?

基本的に、どの業者も任意整理には前向きな姿勢をみせます。
「このままだと間違いなく破産する」状況だったら、はやめに任意整理で組み直して元本だけ返してもらうほうが得策だからです。
業者が抵抗する構えをみせるのは、次のようなケースです。

契約したばかりで1回も返済がない

契約したばかりでいきなり任意整理を頼まれると、「うちは除外してください」と頼まれる可能性が大です。
弁護士・司法書士としてもさすがに強くは出られないため、任意整理対象の業者から外される可能性が高いといえます。

財政力の弱い零細業者

テレビCMで聞くような有名業者は、だいたい任意整理に応じてくれて利息も全額カットしてくれます。
問題は、資本が弱い零細の業者です。
このような業者は利息を取れないと経営に大きく響くため、交渉もスムーズにいきません。
資本が弱いところや、あまり名前を聞かないマイナー業者だと、交渉の難航も予想されます。
任意整理はあくまで「任意」なので、業者も無理にしたがう必要はないわけです。
利息カットに応じてくれたとしても、「半分だけ」「10%のみ」など条件を付けてくるところが目立ちます。
すべての業者がすんなりと利息の全額カットに応じるわけではないと思ってください。

免責不許可事由にあたると破産できない?

どんなケースも裁判所は自己破産の免責を下すと思ったら大間違いです。
自己破産が認められるにはそれなりの条件があり、それを満たさなければ免責不許可となってもおかしくありません。
免責不許可となる主な事由は次のとおりです。

・債権者に配当すべき財産を隠匿・損壊したとき
・財産を勝手に贈与
・高金利でお金を借り入れして不利益な条件で債務を負担したとき
・クレジットカードで購入した商品を換金したとき
・高額商品を買うなど、浪費によって過大な債務を負担したとき
・パチンコや競馬などギャンブルで借金を作ったとき
・裁判官との面談で虚偽の報告をしたとき
・債権者集会で必要な説明を怠ったとき
・破産管財人の調査に協力しなかったとき

ただし、免責不許可事由に該当したからといって、ただちに不許可になるわけではありません。
裁量免責(不許可事由があったとしても裁判官の判断で免責にすること)できないかを管財人が調査します。
そのため、たとえギャンブルを理由に債務超過になったとしても、それを理由に無理をして任意整理を選ぶ必要はありません。

財産処分したくないから破産拒否?

「財産処分したくないから何とか任意整理でいけないか」という依頼者もいます。
自己破産では通常、以下の財産を処分すべきとされています。

・99万円以上の現金
・20万円以上の高級品
・家、自動車などの財産
・有価証券や株式
・保険解約金
・贈与
・退職金
・債権
・金銭的な支援

将来もらえる退職金も財産とみなされます。
実際に会社から退職金を引き出すわけではなく、退職金額がどれくらいになるかについて、会社側に確認する必要があります。
「金銭的な支援」とは、近しい間柄の人に与える金銭で、たとえば愛人や恋人、飲食店の店員に対するお小遣いなどです。
これらの額は、通帳の振込額や本人からの聞き込みなどから調べられます。
愛人や恋人にあげていたお小遣いを返金できないとしても、管財人に尋ねられたら正直に答えなければなりません。
自己破産では、このようにお金の出し入れについても細かく問いただされます。
それが嫌だから自己破産を避ける人も多いのです。
事務所側に要望を伝えてもよいのですが、それが必ずしも反映されるとは限らないことだけは承知しておいてください。
さまざまな判断基準があるものの、最終的に結論を下すのは弁護士・司法書士の役割です。
もちろん本人の要望も参考にされますが、収入や債務額、月々返済可能な返済額、財産の有無などの客観的データが判断の基礎となります。
その意味では、最終判断を下す事務所の選別も重要です。
有名であっても、債務整理が得意な弁護士もいれば不得意とする弁護士もいます。
頼むのであれば、任意整理・自己破産に精通するプロフェッショナルに任せるべきです。
実績はあってもビジネス優先だと不利益を被る可能性が高いため、依頼者の話をよく聞いてくれて、なおかつ費用も良心的な事務所を選んでください。

どれくらい戻ってくるのか?